思いもよらぬ事
「遅いわねぇ」
「やっぱり無理なんじゃない〜、あんな見た目でも男だし」
エリサとマリアが、ロビーの椅子に座りながら会話していると。
「あ!きたわよ」
そうエリサがそう言うと、階段を降り降りているエリンがいた。
しかしそこには本来のエリンの姿はなかった。
脚の位置までマントのように伸びている白と青いラインが目立つ上着、長い靴下、そして今流行りのロングブーツ。
エリサは天に召されたように、邪念など一切感じない笑みをこちらに向けてきた。
「見て、あの子すごく綺麗じゃない?」
「本当だ、どっかのお偉いさんの娘さんかな?」
僕はそんな話に耳も向けず、早歩きでマリアとエリサの元へ向かった。
「なんですかこれぇ〜」
「あ、あはははは、きれいだなぁ、あははは」
エリサがまだ天に召された状態なので、マリアに向かって文句を言った。
「なんですかこれぇ」
「うん、さっきも聞いたよ」
「そう言うことじゃなくてぇ〜、何で女性物の服なんですか!!」
僕は、マリアの目を真剣に見ると、マリアの頬が赤くなっていくのが分かった。
「ご、ごめん…それ以上見つめられたら、私も…」
「どう言うことですか!」
「いや、マジでやばいからちょっと離れて」
そいいうとマリアは僕の肩を掴んで、丁寧に距離を置いたのだった。
「何でよりにもよってこんな服なんですか!?」
「何でって、似合いそうだったからだけど…」
僕は初心に戻り、根本をツッコもうとしたが、ここは女性しかいない宿なので、男であるとツッコめなかったのである。
「それに、何でもっていったじゃん」
「ぐっ!」
そして僕は、もう2度と(何でも)と言わないと決めたのだった。
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「それじゃあ、行きましょう!」
「レッツゴー!」
「…はい」
そして僕は落ち込んだ顔色で2人と一緒に外に出て、観光を始めた。
まずは、エリサとマリアの提案でショッピングモールへ行くことになった。
その道中、僕は、2人につけられていることに気づき、警戒しながら目的地へ向かうのだった。
「ここだよ」
そう言われて、建物を見ると結構な大きさだった。
これは…時間がかかりそうだな…
「じゃあ、まずは、お昼ご飯からっ!」
「そうね、それなりの時間だし、そうしましょうか」
そう言って僕たちはフードコートに向かい、それぞれ好きなものを頼むみ、そしてみんなが揃うと、それぞれ頼んだ物の話で盛り上がるのだった。
「エリンは何頼んだの?」
「僕はレッドチキンのステーキだよ」
「何でそれにしたの?」
するとエリンは熱のこもった話をし始めた
「知っていましたか、このレッドチキン、高たんぱく、低カロリーってことを」
「それが、どうしたの?」
エリサ聞くとエリンの話に熱がこもる。
「つまり、筋トレにぴったりの食品ってことですよ!」
「へ、へぇ、そうなんだ」
マリアが苦笑いしながら言うと、エリサがエリンの肩を掴んで前後に揺さぶるり始めた。
「ダメよ、絶対に!そんなこと!!」
こうして、思いのほか話が盛り上がり、楽しいと思える時間を、過ごしていると…
「ウィンウィンウィンウィン!」
と警報が響きわたった。