新たな仲間達
ちなみに僕は男だとバレていないようだ。
見た目はもちろんそうだけど…大事なところをタオルで隠しているし、それだけだと、女性から見たら、男に見られてしまうかもしれないので僕は女の子っぽく、胸も隠しながらこの場をやり過ごすのだった。
「どうしてそんなに可愛いのぉ、その見惚れてしまうほど美しい青い髪…そして職人が作り上げた様に細部までこだわって作られた様な顔…同じ女でも守ってあげたいって思っちゃうじゃないもう!」
ちなみに今話しているのは、さっき止めに入った人である。
「あ、ありがとうございます…」
『男でこんな事言われるなんてあまり良い気分にはならないが…まぁいいかって 良くねぇよ!!目のやり場にも困るし、やばい!本来の路線から外れてしまっている!!しかも、さっき止めに入った人!お風呂に入っただけでどうしてそうなるの!?のぼせちゃったの!!』
頭の中がいっぱいになり僕ものぼせそうになるのだった。
「ははは、エリサも乗ってきたね〜」
「あたぁりまえじゃない、こんな可愛い子と話しできないんだなんて…死んだ方がマシよ!!」
どうやら本当に乗ってきたみたいだ、まるで酔っ払っているみたいに。
『なんだかものすごいことを口走ってるな〜』
僕は男ですみませんと心の中で謝るのだった。
『でもなんでお風呂に入るだけなのに、こんな酔っ払ったみたいになるんだ…』
僕がそう思いながら周りを見渡してみると、1つの看板を見つけてそこに書かれていることを呟いた。
「こうじ…風呂!?」
思わず大きな声が出てしまった。
「ああ、そうなんだよ。ここのお風呂は女性に大人気の麹風呂なのである!これでお肌スベスベだよ!!」
『そんな自身満々に言われても…でもこれで問題が分かったぞ!………でもどうすればいいんだよぉ〜』
もはや僕の脳内は漫才のようになるのだった。
そして僕は続けてやり過ごす事に決めるのだった。
「そういえばさぁ、君って私たちと同じぐらいの年だと思うんだけど、もしかして学園の試験を受けにきたの?」
「まぁ…そうですけど」
僕は推薦でこの学園に入ることを伏せるために、曖昧に答えた。
だってまた、めんどくさい事になりそうだし…
「じゃあさ、どこからきたの?」
「バレスティンだよ」
僕は正直に答えた。
「えぇ!バレスティン!!」
さっきまで話し会おうぜと言っていた子なのに、何故か驚かれてしまった。
「え?何、なんか変なこと言った??」
戸惑って返すと、僕は避けていた、めんどくさい事態になりそうだと悟るのであった。
「だ、だってバレスティンってあの不滅の英雄って呼ばれてるエリックが作り上げた国で、主に魔剣術士の養成に力を入れ、数々の英雄を生み出した伝説の国じゃない!!」
「でも、その国、確か4、5年前にとてつもないほどの魔物の大軍が押し寄せて、今はもうないんじゃなかったっけ?」
この酔っ払いの言う通りである。
5年前に…僕のせいで……
「ま、まぁその話は置いといて、同じ試験を受ける仲間だから仲良くしなきゃね!」
僕はこの子達の優しさを実感したのだった。
「では、改めて、私の名前はマリアで、そっちの名前は…」
「エリサだ、よろしく」
エリサはすっかり酔いが覚めたようだ、何故かは…分からないが。
「ぼ、私の名前はエリンです。えぇーと、よろしくね」
それっぽく挨拶をして、僕は何かが吹っ切れたようにその子達との話が弾むのであった。
そしてしばらくすると僕は、正気を取り戻し、再び立ち去ろうと試みた。
「ぼ、私もう上がろうかなー」
「確かに…もうお風呂しまっちゃうからねぇ」
「もう、上がりましょうか」
僕は心の中で『よし!』とガッツポーズするのだった。
後は着替えの時に、彼女達を直視しないようにする事と、男とバレないように着替える事だ。
そして浴槽から立ち上がり、脱衣所へ向かおうとすると…
「あれ、なんだかふらふらするなぁ」
バタン!
そして僕はそのまま倒れてしまったのだった。