学生時代
あれから1時間経ち、僕は扉の前で止まっていた。
扉には、水色の鉱物が使われている。
おそらく、魔吸石の類だと思われる。
魔吸石は、魔力を吸収してその力を蓄える、または記憶する鉱物である。
魔力を吸収した魔吸石は、魔道具のコアなどに使われることが多い。
ちなみに、この魔吸石はとても貴重な鉱物で、この扉だけでものすごい価値になる。
この扉の場合、特定の人物の魔力に反応して開く仕組みなのだろう。
そして僕は、この扉の向こう側に何があるのかすごく気になり始めた。
「どうやって開けようかなぁ…」
僕は、とりあえず扉に触れてみた。
すると、ゴゴゴと音を立てて扉が開いてしまった。
「えっ、何で?」
僕は一瞬戸惑ったが、好奇心を抑えきれず中へ入って行くのだった。
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その頃、学長室では…
「さぁ、馬車馬のようにこの魔道具たちを片付けてください」
「あのぉ、ちょっと休憩させてくれないかなぁ。なんて」
「ダメです」
「…はい」
まったく、この方はいつも可愛げのないことばっか。
それに比べてあの子…
「可愛かったな〜」
「えっ、なんか言った?」
「いえ、なんでも。そんなことよりなんで、この部屋は魔道具がこんなに散らかっているんですか!」
「いいじゃないか〜学生の時の思い出ぐらい持っておいて」
「学生の頃の思い出?」
「そうだよ、私だって学生だったんだから、思い出ぐらいあるよ!」
「それが…このガラクタですか?」
「ガラクタって言うな!これは私が創設したギルドで作った作品だぞ!!」
「そのギルドは確か、存在事態無いって噂がありましたよね」
「まぁ、とっておきの場所に本部を隠しているし、あんな大きな建物なんかよりロマンがあるだろう」
「へぇ〜」
私はこの話題に興味を持ってしまい、まんまと掃除の話題をそらされたのだった。