表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サツドル  作者: 暮メンタイン
1/5

握手会

 レーンに並んでいるのはざっと数えて百人に届かないくらい。ただこいつらと僕とでは決定的に違うところがある。僕はいわゆる鍵開けだ。今日の握手会で、はるなんのまっさらな手を握れるのは僕だけだ。時間ぴったりに門が開いて、僕は一歩踏み出した。ブースの入り口を入った段階ではるなんに名前を呼ばれた。両手を差し出すはるなんのもとに近づくと自然な流れで僕の手を握ってくれた。みんなは知らないだろうがはるなんは冷え症で手が冷たい。はるなんの本当の温度を知っているのは最初に手を握られる僕しかいない。

「こないだのはるなん部屋でやってたお菓子いっぱい食べるやつよかったよ」

「本当に、でもちょっと太っちゃったかも」

まだまだ話したいことはあるが、ハガシのことを考えれば会話は2ターンが最適だ。

「またね」

手を振るはるなんに僕も手を振る。ブースから出ると僕は何ともやるせない気持ちになった。今日もダメだったかと。念のために僕の後ろに並ぶやつらの顔とおよその服装を10人程度あらかじめメモしておいた。予想通りというか僕でさえ違うのだから当たり前なのだが後ろの10人はその順番どおりにブースから出てきた。つまり誰も選ばれなかったというわけだ。外に出てから手帳を出して次の予定を確認する。22時から始まるはるなん部屋の配信まで結構な時間がある。その間に昨日はるなんがSNSに載せていたタピオカミルクティを買ってから家に帰って、時間ぴったりに入室したら誰よりも星を投げることにする。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ