Rain
わたしたちが同じように
ぬれ鼠になるには
君の傘は隔たりでしかなく
軒下のわたしは臆病者
街路樹の葉先から
零れる雫
薄く張ったアスファルトの
水たまりには
新たな雨粒が足され
ふいに巻き上げた風が
ほんの少しわたしの肌を湿らせる
透明が深くなれば
君の傘の上で跳ねようとも
この想いは濁りなく
落ちたでしょうか
君の本気が雷雨であれば
わたし丸ごと
はちゃめちゃになる程
巻き込んでくれたでしょうか
君は何に傷つきますか
雨はそれに沁みますか
冷やした音が
君の傘を貫く
安全地帯でなお
怯えるふたり
防水加工じゃ
涙は耐えられませんか
相合傘じゃ
誰も守れやしませんか
重い雲が流れて行って
熱気の中で
わたしたちは
密かに濡れた
つま先ばかり気にしていて
雨どいから伝う
最後の一滴
濡れた緑に降り注ぐ光
傘を閉じた君が
その手を差し出せば
ささやかに
触れる指先
乾いたふたりでいるのなら
日向の道を
干からびるまで