2話
あるところの女の子の話。
地味で、静かで、あまり目立たないタイプの女の子。
学校があまり好きではなく、でもじゃあ何が好きか・・・と言われても答えられないような子。
好きではないというより、むしろ学校は嫌いだった。
嫌いになったきっかけは、ある男の子が彼女に告白したこと。
目立たなくて浮ついた話が一度もなかった彼女はびっくりして友達に相談したのだけど、それがクラスのある女の子に聞かれてしまった。その女の子はクラスの中でもボスみたいな子で(以下ボス子ちゃん)、男の子のことが好きだったんだって。嫌がらせを受けた訳ではないけれど、針のむしろになったような気分だった。
視線が少しこちらを向いただけで、自分が見られてるように思えてしまった。
いつも誰かが自分を見ながらヒソヒソ話をしているように思えてしまった。
笑い声が聞こえる度に、自分が笑われてるように思えてしまった。
別にボス子ちゃんが彼女に意地悪をしたことは無かった。
でもそれまでと接し方がやっぱり変わってしまい、いつか何かが始まるんじゃないかと怖くなった。トイレの個室に入るたび、上から水をかけられるんじゃないだろうかとか、自分のお弁当がいつか捨てられるんじゃないだろうかとか、そんな事ばっか考えてた。
そんなことを意識すればするほど彼女の生き方はぎこちなくなってしまった。
ほんとに見られたり、笑われたりすることが多くなった。
告白してきた男の子の事が怖くなった。
ボス子ちゃんが怖くなった。
ボス子ちゃんの友達が怖くなった。
学校が怖くなった。
世界のすべてが怖くなった。
彼女は、自分の世界を終わらせることにした。
彼女がしようと考えたのは練炭自殺。お母さんは死んじゃってるし、お父さんは出張ばっかで帰ってこない彼女の家は、いつも独りだったので都合がよかった。
隙間はガムテープで埋めたし、睡眠薬もいっぱい飲んだ。これでさよなら。
ぐっばい地球。ぐっばい世界。
彼女の意識はゆっくりと消えていった。