1話
女の子の名前はカビリュナクックルー。
とても変な名前だけれどそれもそのはず。彼女は宇宙人なのだ。
ちょっと長い名前なので、これからはカナちゃんとでも呼ぼうかな。
宇宙人と言っても、カナちゃんの体の構造は地球人とほとんど同じで、考え方や発想もほんとにそっくり。お菓子だって食べるし、ロックだって聞く。定期テストの結果が悪ければ再試だって受けさせられる。
この宇宙人と地球人の違うところなんて、科学技術が比べ物にならないくらい発達していることと、体の大きさが違うことくらい。
……実はカナちゃん、親指くらいのサイズの宇宙人なのだ。
だからNASAにも見つからずに地球にやってくることが出来たし、傍にいても中々地球人には見つけられないんだ。
地球にやってきた理由を簡単に言ってしまうと「地球人の観察」。詳しい理由は、さすがにまだちょっと言えないけどね。
もしかしたら地球侵略かもしれないし、友好関係を築きに来たのかもしれない。まぁその話は追々していくとしよう。
ちなみに今回地球にやってきたのが何故カナちゃん一家だったかというとね、実はカナちゃんのパパが宇宙人の中ではそこそこ優秀な科学者だからなんだ。
地球に来るまでの宇宙船を用意、操縦、修理くらいお茶の子さいさいで、人工知能だって一晩あれば作れちゃう。でもそこそこの人材だから、星にいてもらわなきゃ困るってほどでもない。そういうことで白羽の矢が立ったってわけ。
さて、そんな訳でそろそろ話に入っていきたいのだけれど、地球人の観察をしていく上で準備しなければならない重要なものが一つあるんだ。
それは「協力してくれる女子高生」。
地球人を観察するのに一番良い方法は、やっぱり地球人の生活に入り込むこと。それなら地球人型のロボットを作っちゃえっていうのが定番なのだけど、人間ほど生活がカッチカチなコミュニティに属するには準備がかなり難しいし、ロボットである事がばれてしまったら大変でリスクがすごく大きい。
だから今回は一人の信頼できる地球人に協力をしてもらいながら観察しようと考えたのだ。
そして協力者に求める事は以下の四つ。
・ある程度知能が発達しているが、こんな突拍子の無い話を承諾してくれること。
・就業等時間的拘束がそんなに多くないこと。
・観察にどれくらい年月がかかるか分からないので、若い方が望ましい。
・女性であること。
四つ目を見ると、やっぱりカナちゃんのパパも男だねー、いやーなんかえっちで変態の臭いがするねって思われちゃうかもしれないね。でもそれには理由があって、今回調査係として働くのは何を隠そうカナちゃん。大きさは違えど、男と二人で色んなところへ行かせられないっていう親心があっての事だから、その辺は許してあげてね。
そういう訳で、今回の協力者は女子高生あたりが丁度良さそうだってことになったんだ。
それでは物語のはじまりはじまり。