第5話
「今日の朝御飯は水道水よ」
「今日もか。相変わらず俺達ビンボーだな」
「あなたが毎日パチンコ行ってるからよ」
「お前だって毎日ホストに行っ」
「うるさい。本編始まりよ」
「さあ、今日の朝飯は何だ!?」
俺がそう言うと木の間から2匹の犬が飛び出してくる。いや、あれは犬じゃない。狼が魔力によって強化されたものだ。
「よお、ワンちゃん達。おとなしく俺の腹のなかにおさまりな!」
そういって空間を捻じ曲げ武器を取り出す。ショットガンだ。
「おらよ!」
弾ける様な音がしてショットガンが火を噴く。
正面のワンコがふっとぶと同時に右にいたやつが飛びかかってくる。
「ふっ!」
ドグッ!
右のワンコをかわしすれ違いざまに蹴りをおみまいする。そしてショットガンをポンプアクションをして後ろを向きながら発射。ワンコBのHPもゼロ。
「今日は焼き肉だ」
「ちょ、ちょっとそれ何よ!」
犬たちを引きずろうとするがシルフィが立ちふさがる。
「銃だ」
「銃って……。そんなの見たことないわよ!」
この世界にも銃はある。が、これはこの世界のモノじゃない。
「異世界の銃だからな」
この世界の銃は単発式で威力も低い。
「い、異世界?」
シルフィが俺を哀れむような目で見てくる。失礼な。俺はいたって正常だ。
「歴史の教科書見なかったのか?」
「た、確かに異世界に渡る魔術はあるけど」
そう、昔は異世界に渡ることはできていた。しかし空間魔術の難しさから学ぶ者は減って行き、ついにはいなくなったというわけだ。
「なんであんたができるのよ」
「カッコイイ男は何でもできるのさ。それより朝飯食おうぜ。肉が腐っちまう」
シルフィはその答えに満足できないといった顔だったが、しぶしぶついて来た。