あなたのパパは
この世の光を
見る前から
あの世行きを
約束されて
生まれたあなた
クスンとも
声を上げずに
生まれ落ちて
きたあなた
おっぱいを
飲むことも
待ってたパパの
大きな腕に
抱かれることも
なかったあなた
それでも
あなたのパパは
日暮れの役所に
息せききって
駆け込んで
それが
あなたの
命の証で
あるかのように
誇らしげに
出生届を
出してきた
あなたのパパは
あなたが生まれる
半年前から
王子様や王女様の
寝室も顔負けに
あなたの部屋を
せっせと飾った
あなたのパパは
私の顔を
ちらと見て
ママが
聞いてないときに
また話そうねと
お腹のあなたに
照れくさそうに
ささやいた
たった
たった1日しか
この世のあなたを
見られなかった
心すさんで
コウノトリまで
恨んだ罰かと
後悔しても遅いけど
でも
あなたのパパは
見せてくれた
雪のように
儚くて
雪のように
けがれのない
あなたという
宝物を
たった1日
だったけど
至らぬママに
見せてくれた
ただでさえ窮屈な
おなかの中で
頼りない
素人ママに
辛抱強く
つきあって
出てくるなり
「ああほっとした」と
言いたげに
天の国まで
翔けていった
あなたとの
1年を
あなたのパパは
ママにくれた
あなたをママに
授けてくれた
あなたのパパが
授けてくれた