第三話
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第二話の後半的な話です。
アデレイドが泣き止んだのはだいぶ経ってからのことだった。
アデレイドが泣いている間、グレアムは頭を撫でたり、飴を差し出したりとまるで子供にするようにあやした。
それがくすぐったくて、安心できて、アデレイドは今までの想いを吐き出すようにわんわん泣いた。
アデレイドが落ち着いた頃、グレアムは誰かに呼ばれて出て行った。
アデレイドはうーん、と背伸びをして大きく息を吐いた。
(あー、すっきりした。よく泣いた)
久しぶりに大泣きした。我慢していたんだな、と思う。
でももう大丈夫だ。思いっきり泣いたから、また歩いていける。
冷めてしまった紅茶を飲んでいると誰かが入ってきた。
アデレイドは慌てて外していた眼鏡をかける。
入り口を見れば、入ってきたのは金髪の少女ーーキャロラインだった。
「げ」
アデレイドは思わず呻いた。
「げ、とはなによ。失礼ね」
キャロラインはアデレイドの向かいに座る。
従僕が新たに紅茶を用意するのを横目で見ながら、アデレイドは口を開いた。
「何か用?」
「それはこちらの言うことよ。
ここはわたくしのために整えさせた部屋よ。
誰でも使っていいと言ってありましたけど、まさかあなたがいるとは思わなかったわ」
「あ、そうなの。お邪魔してるわ。いい趣味ね」
アデレイドは新しく淹れてもらった紅茶を飲んだ。
おいしい。和む。
ぜひそこに控える従僕さんに美味しい紅茶の秘密を聞かなくては。
アデレイドがほっこりと和んでいると、キャロラインは呆れたような顔をした。
「それにしても、みっともない顔ね。鼻が真っ赤よ。目も腫れているんじゃなくて?」
「ほっといて」
アデレイドがつんっと顔を背けると、キャロラインは従僕になにかを告げた。
彼はすぐに冷たい濡れタオルを持ってくる。
アデレイドが受けとると、
「それで顔を隠しておきなさいな。放っておくと、ひどい顔が余計にひどくなるわ」
キャロラインの言っている事は酷いが、気遣っているのが分かる。
アデレイドはふっと笑った。
眼鏡を外して、濡れタオルを目に当てる。
「どうしたのよ、今日は。いやに優しいじゃない」
「勘違いしないで。
グレアム様に頼まれたから様子を見にきただけよ。
それに子供のようにわーわー泣いてるあなたを見たら毒気も抜けるわ」
「なっ、見てたの⁉︎」
「あなたがこちらにいると聞いて、またグレアム様にちょっかいをかけていると思ったのよ。
そうして扉を開けたら外聞も憚らず大泣きしてるんですもの。
わたくし達全員呆気にとられたわ」
「全員⁉︎ 全員ってあなただけじゃないの⁉︎」
アデレイドはたまらず叫ぶ。
「他の方もいらしたわ。バリー様とデクスター様とマシュー様と・・」
キャロラインは普段から彼女と一緒にいる男達の名をあげていく。
「もういい! 言わないで! お願いだから!」
そんなに沢山の人に泣いているところを見られたなんて恥ずかしすぎる。
穴があったら入りたい。
アデレイドがタオルを顔に押し付けて蹲っていると扉が開いた音がした。
「あー、アディ、どうしたのー?」
のんきな明るいジャスティンの声。ジャスティンがアデレイドの隣に腰掛けた気配がした。
「アディ、どうしたの?」
「グレアム様が泣かしたのよ」
キャロラインがジャスティンの疑問にすかさず答える。
確かに泣かされたと言えるが、意味合いはだいぶ違う。
訂正しようと思ったが、ジャスティンの声の方が早かった。
「えー、グレアムさんが泣かしたのー?
なんだよー、自分は偉そうな事を言ってたくせに」
「偉そうな事?」
アデレイドは顔を上げ、横目でちらっとジャスティンを見た。
ジャスティンは腕を組んで、首を捻っている。
「そう、なんだっけな? 今までなにをしていた、とか彼女を守る気があるのか、とか」
「なにそれ」
なんか嫌な予感がする。
「貴様には側にいる資格がないとか、アデレイドはこれからは私が保護するとか言ってたよ。
おかしいよねー? アディは僕のなのに」
おかしいのは君の頭だ、という突っ込みは置いておいて。
どうやらグレアムの魅了は、まだ解けていないらしい。
先ほどの言葉も魅了の影響下かと思い、少しがっかりする。
しかし、今の問題はそれではなくて。
「カーヴェル様が相手にしてるのってブレント?」
「そう。ブレント・オールディス。
あの二人、仲悪いね。今朝も睨み合ってたし」
「今朝? 私も一緒の時? 気付かなかったけど」
「グレアムさんに気付いたあいつがアディを隠してたからね」
ジャスティンも紅茶を淹れてもらい、それに口をつけながら言った。
アデレイドはジャスティンの言葉に納得する。
魅了が解けた後は怒っている人もいるから、ブレントはかばってくれたのだろう。
「それで今は? 他になにか言ってた?」
「あー、決着をつけてやるとか言ってたかな? 今頃闘技場かな?」
「それを早く言って!」
アデレイドはタオルを顔から離すと立ち上がって、急いで小部屋を出た。
サロンには何人もの男達と、言い争っているブレントとグレアムがいた。
まだ闘技場に行っていなくて、アデレイドはほっと胸を撫で下ろす。
「アデル!」
アデレイドに気付いたブレントが、グレアムをかわして、アデレイドに駆け寄った。
「どうしたその顔! 泣いたのか? カーヴェル! お前、アデルになにをした!」
ブレントは側に来たグレアムに噛み付いた。
アデレイドはブレントの袖を引っ張って止める。
「違うの。私が勝手に泣いたの。カーヴェル様は慰めてくれてたのよ」
「慰めた? アデル、なにがあった?」
ブレントはアデレイドの両肩に手を置いて、優しく問う。
「それは・・・」
アデレイドは言い淀む。
泣いた理由はブレントに知られたくない。
アデレイドがブレントの肩あたりを見ながらどう誤魔化そうかと逡巡していると、グレアムが口を挟んだ。
「彼女とはこの間の件で話をしていたんだ。
彼女は、私が『君は悪くない』と言ったら泣き出した」
「ちょ、カーヴェル様!」
アデレイドは慌てて止めようとするが、グレアムは構わず続ける。
「誰かにそう言ってもらいたかったと言ったんだ。この意味が分かるか?」
この男、本当にデリカシーがない!
アデレイドは居た堪れなくなり、俯いた。
目も鼻も顔も真っ赤。たぶん、今の自分の顔はリンゴのようだろう。
誰もなにも言わず、沈黙が部屋を支配する。
沈黙を破ったのはブレントの小さな声だった。
「・・・・そうか」
ブレントは息を吐き、疲れたような声を出す。
ブレントのこんな声は聞いたことがない。
アデレイドが顔を上げると、ブレントは自嘲めいた笑みを浮かべていた。
(え?)
その顔にアデレイドは違和感を覚えた。いつものブレントらしくない。
「わざとか」
グレアムが低く獰猛な声を出す。
(え? なにがわざと?)
疑問を口に出す前に、グレアムが動いた。
グレアムは腕を振りかぶり、ブレントを殴りつける。
顔を殴られたブレントは後ろに倒れ、調度品を巻き込み、派手な音をさせた。
「なっ、なにをするのよ!」
アデレイドはグレアムを批難し、ブレントに駆け寄ろうとしたが、ジャスティンに腕を掴まれ止められた。
「ジャスティン君、離してよ!」
「うーん、よく分からないんだけど、グレアムさんが正しい気がする」
「なにが正しいのよ! いきなりブレントを殴りつけて。ブレントがなにをしたっていうの⁉︎」
「うーん」
ジャスティンは苦いものを飲んだような顔で唸った。
続きを言うつもりもないが離す気もないようだ。
がっちり腕を掴んで離さない。
「貴様にどんな思惑があるのか知らないが、二度とアデレイドに近付くな」
グレアムはブレントの襟首を掴み、とんでもないことを言う。
ブレントがいなくなったら、アデレイドの側には誰もいなくなってしまうのに。
「やめてよ!」
アデレイドは叫ぶが二人は聞いていないようだ。
ブレントはグレアムの手を払いのけ、立ち上がって襟を直す。
「お前には関係ない。アデルの側にいるのは今も昔も俺だけだ。
そしてこれからもだ」
ブレントの言葉にアデレイドはほっと胸を撫で下ろす。しかし、
「貴様をアデレイドの側にはいさせない。
三週間前の決闘の条件を覚えているだろう。
私が彼女に勝ったら結婚するというものだ。つまり彼女は私の婚約者だ。
私の婚約者に近付かないでもらおう」
グレアムの言葉にアデレイドは顔をしかめた。
(うわぁ。やっぱり全然魅了が解けてないじゃない。
これはもう一度静養に行ってもらって、今度こそ、きっちり魅了が解けるまで帰ってこないようにしてもらいたいわ)
なんとなくキャロラインを見る。
彼女はブレントとグレアムを見て、難しい顔をしていた。
他の面々もどうやら二人を止めてくれる気はないようだ。
苦虫を潰したような顔をしていたり、キョトンとした顔をしていたりと様々だ。
「それを言うのなら、前につけられなかった決着をつけるか。
勝った方がアデルの側にいる」
ブレントの低い声が響く。
「いいだろう」
グレアムがそれに答え、二人はサロンを出ていった。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
「ちょっと、ジャスティン! いい加減に離してよ!」
「えー、やだぁ。せっかく邪魔な奴らがいなくなったんだから、僕とお茶しよー」
緊張感のないジャスティンと言い合っているうちにも時間は経つ。
ブレントとグレアムを止めなければならないのに、この大きな子供は纏わり付いて離さない。
イライラと睨み付けると、ジャスティンはにへらっと笑った。
埒が明かない。
キャロラインが難しそうな顔で近寄ってきた。
「ねぇ、アデレイド」
「なによ、キャロライン。ぼうっとしてないでこの子を剥がすの手伝ってくれない?」
キャロラインはお人形のような可愛らしい顔に似合わない難しい顔をしている。
考え込んでいるようで動かない。
「どうしたのよ」
「あなたとオールディス様って、どんな関係?」
「はあ?」
アデレイドは素っ頓狂な声を上げた。
アデレイドとブレントは魅了したものとされたものの関係だ。
この間までは少しは友人と言ってもいいのではないかと思っていたが、ブレントから『魅了されたまま』という申告を受け、アデレイドは落ち込みつつ、その事実を受け入れた。
「見たままでしょ」
「その見たままが分からないのよ。恋人? 友人?」
「どっちでもないわよ。ブレントは私の能力の被害者よ」
「そうかしら?」
「そうかしらってなによ」
「よく・・分からないわ」
「・・・」
分からないという意味が分からない。
アデレイドの能力は周知の事実だというのに。
「そんなことより、この子を剥がして。二人の決闘を止めなくちゃ」
「えー、やだぁ。ここにいよー」
「い・ま・せ・ん!」
アデレイドはきつく言うが、ジャスティンは堪えた様子はなくアデレイドに巻きつけた腕もそのままだ。
もう、イライラする。
「キャロライン! 二人を止めなきゃ!」
「でも、」
「魅了されてる二人が私をかけて決闘するのよ! これほど馬鹿馬鹿しい事はないでしょ!」
「そう、そうね。とにかく二人を止めましょう。ーージャス」
キャロラインはジャスティンに話しかけた。
「アデレイドを離して」
「えー、やだ」
「離してくれたら、アデレイドが頬にキスしてくれるわよ」
なにを勝手な事を言っているか。アデレイドは胸中で呻く。
「んー、口チューがいい」
「それはアデレイドに交渉して」
「アディ」
「だめ、頬」
アデレイドはついうっかり返してしまった。
頬にキスするつもりもなかったのに。
「やっぱり、今のな・・」
「しょうがないかー。ほっぺでいいよ」
今のなし、と言い切る前にジャスティンに離されてしまった。交渉成立。
アデレイドはがっくりと肩を落とす。
しかし、そんな場合ではなかった。
アデレイドは急いで外に出た。
サロンのある建物から闘技場までは距離が大分ある。
ブレントもグレアムも優秀な魔法士であるから箒に乗って空を飛べる。
箒に乗って行ってしまったのなら、もう闘技場に着いているだろう。
アデレイドは、大多数の生徒と同じく箒に乗れない。
走って行くしかないが、間に合うだろうか。
「アディ、僕の後ろに乗って」
ジャスティンはいつの間に呼び寄せたのか背丈以上ある箒に跨り、にっこりと笑う。
「ありがとう!」
アデレイドはジャスティンの後ろに横乗りし、落ちないようにしっかりとジャスティンに抱きついた。
「あ・・」
ジャスティンが吐息を漏らす。
「どうしたのよ?」
「いい。僕の背中にアディの・・」
アデレイドは即座に体を離し、箒から降りた。
「あ〜」
ジャスティンが残念そうな声を出すが無視して、キャロラインの方に行く。
「キャロライン、乗せて!」
「え、なぜわたくしに」
キャロラインは箒に横乗りしたまま、不満そうな声を出す。
「だって、私、あの子の後ろに乗るのやだ」
「まあ、さっきのを聞いたら気持ちは分かりますけど」
二人して、ジャスティンをじとーっと見つめる。
ジャスティンはいつもの、にへらっという顔をした。
「わかったわ、後ろに乗りなさいな。でも、覚えておいて。
あなたと馴れ合うのはこれっきりよ。
ローランド様は渡さないんだから!」
すっかり忘れていたローランドの名を出されて、一瞬誰だっけなと思ったことはキャロラインには内緒だ。
「わかった。よろしく」
アデレイドはキャロラインの後ろに乗り、二人は空高く舞い上がった。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
闘技場には噂を聞きつけた人がすでにいた。
アデレイド達は闘技場の外に降り立ち、走って、通路を進む。
場内に着いてみれば、すでに決闘立会人もいて一触即発だった。
「二人ともやめて!」
アデレイドは二人に駆け寄る。
「馬鹿な事をしないでよ! 怪我したらどうするの! こんなの意味のない闘いじゃない。
二人とも冷静になってよ。今すぐやめて!」
アデレイドは二人の間に立ち、手を広げて言い募った。
「アデレイド、これは意味のある闘いだ。君は下がっていなさい」
魅了されている輩がなにを言うか!
アデレイドは頭に血がのぼっているため、深く考えず、グレアムを睨み付ける。
「意味なんてないわよ!
カーヴェル様は魅了が解けてないのよ!
今すぐ帰って大人しくしてて」
怒鳴りつけると、グレアムは首を振り、アデレイドに近付いた。
「私の魅了は解けている。
昨日、学長とも話したのだが、君の魅了にかかるかかからないかは気合の問題だ。
君の魅了は無差別だが、純粋な妖精ほど強くはない。
だから、精神を整え気をしっかり持てば抗えるのだ」
グレアムは言いながらアデレイドの手を持ち上げ、手のひらに口付ける。
アデレイドの全身に鳥肌がたった。
(言ってることと、やってることが違う! ぜんっぜん抗えてないじゃない!
というか、またさらにカーヴェル様を魅了しちゃった⁉︎ )
よく考えたら、今自分は眼鏡さえしていない。その事実に青ざめる。
やはり明日から鎧の頭をかぶろう。
残念なアデレイドの頭には、とりあえず無難にベール、という考えはなかった。
アデレイドはグレアムの手を振り払うために手に力を入れるが、その前にお腹に手を回され引っ張られ、後ろにたたらを踏んだ。
見上げればブレントの顔がある。
「アデルに触らないでもらおうか」
「自分の妻に触ってなにが悪い」
「アデルはお前の妻じゃない」
「そのうちそうなる」
アデレイドは頭を抱えた。
これでは三週間前の二の舞だ。
(ああああ〜〜、どうしよう!)
「アデレイド、下がっていなさい」
「いや!」
グレアムの命令口調をアデレイドは突っぱねた。
「アデル。ここにいては危ない。巻き込まれて怪我をしたくないだろ?」
「決闘なんてしなければいいでしょ!」
ブレントの嗜めるような声も突っぱねる。
「アデル!」
「アデレイド!」
二人が同時に名を呼ぶ。
その二人の声に、アデレイドはどうしようもなくイライラした。
なぜ、この二人は人の話を聞かないのだろう。
三週間前も、今も。
なぜ、人の気持ちを無視しているくせに、アデレイドをかけてという決闘をしようとするのだろう。
それで勝った方の側にアデレイドがいると本当に思っているのだろうか。
それともそれも命令?
アデレイドの気持ちを無視して、黙って側にいろって?
アデレイドのフラストレーションは最高潮だった。
二人は魅了されているのだから仕方がないという考えが、彼方にすっ飛んで、アデレイドを留める役目を果たしてくれない。
「アデレイド!」
「アデル!」
「うるさい!! 決闘なんて、やめてって言ってるでしょー!!」
アデレイドは自分の力を外に向けて思いっきり放ってしまった。
無効化の力。
バリン!
ガラスの割れるような大きな音が響く。
魔力を持っている者なら知覚できる、闘技場の魔法の防護壁の一部が割れている。
そこからどんどんヒビは広がっていき、
ガシャアーーン!!
と大きな音を立てて、防護壁が砕け散った。
防護壁は魔法石を使って、何人もの魔法士が術式を組み立てて作ったものだ。
魔法石は高価で、これほど強固な防護壁を作り維持するにはお金も労力もかかる。
「・・・・・」
誰もなにも言わない。
これはまずい。
アデレイドは青ざめ、自分のしてしまったことに頭を抱えた。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
夜、アデレイドはベットで膝を抱えて座っていた。
先ほどまで、アデレイドの伯父ーー母の兄、妖精の血は父方の血ーーである副学長から、涙ながらにお説教をもらっていた。
『もう、頼むから、なにもしないでくれ』と。
防護壁が砕け散ってしまったのは、アデレイドの無効化の力で一部の術式が消えてしまい形を保っていられなくなったからだと、副学長は言っていた。
なら全部消せば、壊れる時のすごい音はしなかったのかな、と聞いてみたら副学長に頭を叩かれた。
『試そうとするな。これ以上、力を示しては危険だ』と。
どういう意味だと聞いてみたが、答えてくれない。
とにかく余計な事をするなの一点張りだ。
グレアムはまた家から迎えがきて、強制的に静養にでた。
今度こそきっちり魅了が解けてから出てきてほしい。
闘技場の防護壁を壊すという顛末になったが、決闘は止められた。
そのことには満足だ。
破壊魔としてもアデレイドの悪名が轟いただろうが仕方がない。
だってーー
アデレイドは嫌われ者で悪役なのだから。
寝る前。
アデレイドは部屋の窓の下と扉の前に巻きビシを置いた。
赤毛のエロ少年対策だったのだが、翌朝、寝ぼけたアデレイドが自分で引っ掛かりそうになったのはお約束である。
お読みいただきありがとうございます。
セクハラ少年のセクハラセリフ、直接的表現を訂正しました。
ご想像にお任せします。