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はなさかじじい あなざー
昔々、ある所におじいさんとおばあさんが住んでおりました。二人は、ポチという名の真っ白な犬を飼っていました。
ある日のこと。おじいさんが畑仕事をしていると、ポチが畑の片隅でやたらと鳴いています。
「おとなしいポチがこんなに鳴くなんて珍しいことだ」
おじいさんが不思議に思ってポチのところへ行くと、ポチは地面を掘る仕草をしていました。
「どうしたポチ。ここを掘って欲しいのか」
おじいさんがポチの示すところを掘ると、なんと小判がザクザクと出てきたのでした。
おじいさんが小判を抱えて帰るとおばあさんは、おじいさんを問い詰めました。
「おじいさん、この小判はどうしたのかしら。悪いことはしていませんよね」
けれどもおじいさんは、ニコニコと笑うばかりで答えようとしません。心配で事情を聞かせて欲しいのに、そんなおばあさんの気持ちを分かってくれないおじいさんに、おばあさんも腹を立ててつい大声で言ってしまいました。
「話さんか、じじぃ」