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あくのじゅうじか

 とある町にお城がありました。とても寂れているけれど、小奇麗なお城です。日本風のお城ではなく、西洋風でそれほど大きくはないお城です。その持ち主が誰であるかよく分からないお城の地下室には棺がぽつんと置かれていて、その棺の中には吸血鬼が寝ているから近寄ってはいけないと言い伝えられているのでした。

 けれども、近所の子どもたちはそのお城をお化け屋敷と呼んで、格好の遊び場としていました。


 ある日のこと、朝から子どもたちがいつものように遊んでいると、棺の上によじ登ろうとした一人の子どもが足を滑らせて棺の蓋に顔をぶつけて、鼻血を出してしまいました。慌てて鼻を押さえましたが指の間からポタポタと棺に血が滴り落ちるのでした。

 蓋に血が滴るのを見た子どもが「吸血鬼が目覚める!」と騒ぎ出すと、誰からともなく「逃げろ!」と声をあがり、子どもたちは一斉に外へ逃げ出して行きました。


 子どもたちが居なくなってしばらくすると、棺のある地下室の奥から一人の男が現れました。男は、棺の蓋に血がついていることに気がつくと眉をひそめ、奥の方に戻っていきました。五分ほどして、男が再び現れたとき、男は手に掃除道具を下げていました。そして、棺に近寄るとおもむろに掃除を始め出したのでした。しばらくして、掃き掃除の終った男が洗剤の入ったボトルを手に取ると中身が空っぽでした。男は、深いため息をつくと、洗剤を買いに地下室を出て行ったのでした。


 男がスーパーに到着したとき、スーパーはまだ開いていませんでした。ふと気が付いたように腕時計を見て、男が言いました。

「あ、開くの十時か」

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