あたくし
ねぇねぇ聞いてちょうだいな
あたくしのお友達がね
最近元気がなくってね
好きな子が帰っちゃったんだって
どこにか聞くとお空の上なんて言うのよ
あたくしとてもびっくり仰天しちゃったわ
だってねだってねお空の上って天国よ
それじゃあしゃあなしだわ諦めなさいな
お墓参りくらい付き合ってあげちゃるわ
だから元気出しなさいって言ったの
そうしたらお友達がね
あたくしに泣きながらこう言うのよ
「死なないで死なないで
死んでしまわないで
お月様に帰っただけ
あなたはまだそこにいるはずよ
行けばまた会えるはずなのよ」
……
お馬鹿しゃまね
なんて救いようがないのかしら
笑っちゃうわ
ええ笑っちゃうわ
本当の本当の本当に
だってさだってさ
だって
ここは
天国から一番遠い場所なのに
ねぇねぇおかしいでしょ
笑っちゃうでしょ
きっと石を頭に当てられて
すってんころりんしたんだわ
あらまぁあらあらお可愛いこと
あなたもそう思わない?
あ
次はあたくしの番のようね
それじゃあここでお別れね
あの子に会ったらよろしく伝えておいて
あたくしもお空の上に行ってしまったって
ふふふ
最期くらい拙い夢に耽るだけよ
大丈夫
あの子は泣くだろうけれど
あたくしを思って泣きじゃくるだろうけれども
へっちゃらよ
すぐに立ち直るわ
もう子どものままじゃいられないもの
可哀想な子
本当のことを言えば
あたくしが
いいえ
これだけはあたくし言えないわ
欲張りなあたくしも大人になったものね
それでは行きましょうか
地獄の底まで道案内よろしく頼むわね
嗚呼
あゝ、噫々……
あなたもこのようなお気持ちになられたの
あなたさえ生きていてくれるならば
あたくしに未練なんてなくってよ
……と……
でもねでもね
あたくし我儘だから言っちゃうわ
死にたくない死にたくないわ
あなたと明日も共にあれたなら
やっぱりあたくしもお月様に昇ろうかしら
あなたが迎えに来てくれるのなら
それもまたいいかもね
ねぇ、
ばいばい




