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王(の)人

ここに一人、男が跪く


「告る。己は王」


背の、何たる負い傷か

限りのない毀誉に古びた薫りに、終止符を


■■■


『我が死、我が死は何処。天を仰げど照らされるくらい、光れはしない』

嗚呼、陶酔の幻る、家族は笑う

嗚呼、泥裡を射く、闇を輝かけして搔き抱く

『座すばかり、罪過も惰性に堕落た、守ると宣いながら』

故の土の熱りが寂寞の雪をも見えなくさせて

解けたのは名残りか

明けたのは未来の水面に浮かぶ月影


たゆたう世に彷徨える喜びと残酷を知らず



あまたと夢の跡を見送り冠は錆びついた




桜の花筏が日々に照らされ傷ついていく





秒針の木漏れ日が頁に撓垂れる影を追う






「りゅうりゅう花片の夢を、幾星霜。乗せて行方、声のもとへ」

景福の千夜が、互い熟れ頃に唯一の逢瀬とあらば、甘遇も数多に美酒を片手に

「淋しきて夜空々席、朝日の盈たすは最たる嘘偽りか、水を忘れた喉元が枯れう」

婀娜たく、そして果敢なく、然れど暮れなく


雨音の唾棄に見た、蛍る蝉の秘美に兆す雑穢が、忍び偲び忍ぶ宵の晴れ




「天の龍よ急いでいるのか、廻星の刻みが瞬撃きに、己の青春を置き去りに」

羽撃く葉裏のそよぎ翳りこそ寄り添い、それが盲情でも


「焼かれば、狂えば、玉座翫賞す世も我が手から離心を、ようやく新時代を」

はためく、はためく、波を打ち、繰り返し、さようならと、さようならと


「あゝ過ぎし今頃に、冥契の夢を登楼に見るのは、噫々愚にして滑稽な」

遠く鳴禽の阿媚に、暦の遅刻に、何故かの平穏に、草臥れてしまわないように


「重い荷物だ、これが愛だったならば。……

吐けば叶う勝ち戦、希望と言うには軽風に過ぐ」

古巣の温もりに泣く、冠の重さを背負う鏡像が本物であると知った頃



歩くのを止めていた、眺めるの身だった


名乱れ史に埋もれて記せず季節の道半ば忘却す


夢心地に足を着ける

インクの切れたペンの走る足跡

紙束の最上で底へ向く覚悟を吐す


何時カ終没ノ共ト遂二歪ム

空々ヨリ出デル涙ガ熱故二枯ツル

人デ非ズヲ識ルヨ早ク否定シテ下サイ

真息へ疾ク急ゲヨ盲目デ逃避デ凪イデイル

宛名ヲ置イテ情景ノ度スル遺言ノ積ミ上ゲ倒壊へ

天気ノ良イ日々デアリマシタ

キコエタ声ノ去来ガ贋作ノ嘆キデモ信ジタイヨ

己何迄毀レタカ草火ノ花ウタウ哀滲ヲ枕二

我ガ心ノ重キヲ負イ尽クシタ体躯ノ玉砕ハ完スル

今生ヲ否ミテ儚夢ヲ忘歩ニユク道へ据エル

墓石ハ置物ヨ、夢幻ノ標本二傷ヲ綴ジタ

消光ノ瞬キ永遠ヨ、云へ云へ不知火ヨリ

際限ナク記憶ヲクスマセル

葬文へ垂レヌ我ガ泪ノ血雫ガ

只今冷メ切レタ筆ヨリ昇ル

忘レ給エ、未来ヲ遠ザカリ逝ク己ヲ


『されど己、産まれ生きた。消失に逝く己、感情に在った』

宛なき遺志の手紙は葬られ最期の言葉に伏在される

遺灰の遺言は短く綺麗なものが好まれるらしい


苦笑




恋をしていた、この因果も運命も


方今より未来へ願いごと過去へ後悔を云う言うばかり


残すことの、その影帽子を被る君の、行く末なんて

憎らしい己、知らず知れず悶々

なんて恋路とは純たる外道、とめどなく溺々



仄仄し

惜愛も記憶る人生、待ってはくれない

息る鼓動に踊り揺られ、帳を超えて灰の向かえ

選択の正しさを芥に問いかけ、完成の寂しさを証に問いかけ

終ぞ答、白む夢とともに


淡く脆い残響が静謐の譜に垂らす置き文

死し己の置くる言の葉



「どうやら、時間が凪いようで、

命が再び一打ち完し今際の際を疾く、急いては我が身を老している」

あなたを忘れて、涙の理由をなくして、それでも抱え続けて


「透過、道化、往かん。」

生き。











語りかけた

言の葉の散り際に

かたわらに置く墓石の苔のむすまで


私は無常の道に帰れない

だけれども、すべてを持っていこう

私がすべてを持っていくから

死亡いでも

最故に私がいますから


だから、挨拶を。


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