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16グランピングでお泊まり(11)
カナコは日吉と再会したことや、すっかり忘れていた昔の約束事を持ちかけられたことを淡々と話す。今朝のメッセージについては既読すらつけていないので話題には出さなかった。
「……なるほどね。それで、カナコはどう思ったの?」
「私はそんな約束すら覚えてなかったし、もちろんその場で断ったよ。私には彼氏がいて、今はとーっても幸せだからって伝えたし」
バカにしたような日吉の顔を思い出すだけで腹が立ってくる。
「その人、何歳?」
「私と同期で同じ歳。私は早生まれだから、彼は三十一歳になってるかもね。誕生日がいつかは知らないけど」
「知らないの?」
「うん、知らない。私、凪沙以外の男性に興味ないもん」
「そっか」
緊張していた凪沙の顔が、カナコの言葉を聞いて安心した表情に変わる。
「同じ会社だけど、仕事以外では関わらないようにするから大丈夫」
「わかった。話してくれてありがとう」
わだかまりなく伝えられたことに、カナコもホッとした。
食事を終えた後はコンテナに戻り、時間ギリギリまでベッドの上でじゃれあい、過ごす。
忘れられない思い出を胸に、景色の良い場所などへ寄り道をしながら、帰路に着いたのだった。




