表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/63

11師匠にお礼を(3)

「大倉さんがそう言ってくださるなら、これからも褒めさせてください。私も不快じゃないです、嬉しかったです」


「じゃあ、もっと欲しいですか?」


 大倉の言葉に、カナコはドキッとする。


 恥ずかしいが、今の気持ちを素直に伝えることにした。

 遠慮したり、謙遜したり……そういうのは一度捨ててみる。以前の自分とは違う自分になるために、変わるのだ。


「欲しいです。……ください」


「オッケーです。……あげます」


 カナコと同じ温度で答える彼の声に、カナコは頬が熱くなる。

 照れなのか、恥ずかしいのか。……この感情はいったいなんなのか。


 とにかく今日もまた、大人の余裕はどこかへ行ってしまったようだ。



「結構いい物、使ってるな……。これなんだ? これは知ってる、これは――」


 レンタルスペースに着いたとたん、大倉はあちこち見て回りながら、この調子でずっとブツブツ言っていた。


 カナコが借りたアウトドアレンタルスペースは80㎡ほどあり、二十人は収容できるらしい。


 広々とした空間に大型のテントがひとつ、タープという布状の屋根が張られた下にアウトドア用の大型テーブルとチェアが置かれている。

 部屋の奥にキッチンがついていて、ホットプレートなどの調理器具や、紙類の食器が豊富に用意されていた。


(この部屋しか空きがなかったからだけど、やっぱりここにして良かった。疑似キャンプっぽいから、初心者の私にはこれくらいがちょうどいいものね)


 カナコは用意してきたお弁当をテーブルに置き、冷蔵庫に入れるものをいくつか入れてから、テントを触っている大倉のそばに行く。


 室内に流れるゆったりした洋楽が、チルな雰囲気の効果を高めていた。


「最近のテントってこんな感じなんですか?」


「そうですね。ポールの形が――」


 彼に尋ねると、とてもとてもとても詳しい説明が返ってきた……。



 十五分ほど彼の解説を聞いた後で、カナコは食事の準備をする。

 キッチン用品をくまなく手に取っていた大倉に声をかけると、テーブルに来た彼が目を丸くして言った。


「すげーっ! 映え映えじゃないですか!」


「あはは、ありがとうございます。一度、オシャレピクニックっていうのをやってみたかったんですよね~」


「オシャピクいいですよね。俺は関わってないんですが、会社のウェブサイトで何度か特集組んでました。人気の記事でしたよ」


 言いながら椅子に座る大倉と一緒に、カナコも彼の正面に座る。


「私にはオシャレなものは作れないって決めつけてたんですけど、師匠に見てもらえるならと思って頑張ってみました。いかがでしょうか?」


「完璧っす。師匠の俺が言うんだから、間違いない」


 大倉はサムズアップして、口の端を上げた。嬉しくなったカナコが「やったー」と両手を叩いて喜びを伝えると、彼がお弁当を指さす。


「これ、撮ってもいいですか? 勝手にどこかに載せたりはしないんで」


「載せても大丈夫ですよ。私の顔を出さないでいただければ」


「いいんですか? ありがとうございます!」


 大倉は礼を言ってから、持参していた一眼レフのカメラを手に、カナコのお弁当を撮り始めた。


 メインは家で作ってきたホットドッグだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ