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4おにぎりとウィンナーとブロッコリーと卵焼き(5)

 カナコは大倉の部屋の前で彼を待った。


(アウトドアオタクなんて初めて聞いた。いろんな世界があるのね)


 玄関の向こうからバタバタッという足音が聞こえたあと、ドアがひらく。


「お待たせしました。俺の名刺です」


「わざわざすみません。ありがとうございます」


 両手で名刺を受け取った。「大倉凪沙(おおくらなぎさ)」という名前の横に会社名が書いてある。


「ナノハ―・マウンテン……って、聞いたことあります」


「アウトドアメーカーです。俺は、ざっくり言うと企画開発みたいなところにいます。できれば渋谷さんみたいな、初心者の方の欲しい物や要望を知りたいので、いつでも教えてください」


 カナコの手元を指さしながら、大倉は説明をした。


「わかりました」


「困ったときもどうぞ。では、お時間取らせてすみませんでした」


「いえ、こちらこそ。では失礼します」


「失礼します」


 互いにお辞儀をして、カナコはドア前から離れた。カナコが自分の部屋の前に向かうと同時に彼の部屋のドアが閉まる。


 とりあえず大倉に謝ることができて良かった。

 カナコはホッと胸を撫で下ろし、ドアの鍵を開けた。



 自宅で夕食を終えたカナコは、先ほど大倉にもらった名刺を眺める。

 ネットで「ナノハ―・マウンテン」を調べてみると、結構な老舗の会社だとわかった。


「名刺の裏に、会社じゃないサイトのURLとSNSアカウントが書いてある」


 スマホで調べてみたところ、大倉の個人で運営しているサイトとアカウントに辿りついた。


「何この写真、めっっっちゃ綺麗……!!」


 自然の風景や、そこでのキャンプの様子を撮っている画像があるのだが、どれもこれも感動的なまでに美しい。


 どうやらアウトドアグッズだけではなく、撮影機材やパソコンなどのガジェットにもこだわりがあるようだ。


「って、えええっ! SNSの総フォロワー数、6万人っ!?」


 画像やショート動画などのSNSを合わせて、それくらいのフォロワー数らしかった。イケメンのうえに写真も綺麗とくれば、確かにフォローしたくなるのはわかる。


「写真はすごいと思うんだけど、何が書かれているのかわからない……。ULキャンプにハマっている? ミニマルで最軽量のギア?? トレイルフード??? トレイルって何????」


 頭の中にハテナが大量に浮かんでくる。


 キャンプというのは、みんなでわいわいバーベキューをしたり、テントに泊まったりすることでは?? 

 他に知っているのは、友人たちが夏フェスのときにテントを張って泊まり込みで参加したという話くらいだ。


 しかし画像にあるのはどれも、ひとりでキャンプをしている大倉の姿だった。周りに他の人影すらない。


「わかった! これがソロキャンね!? 私が趣味を探していたときにSNSにたくさん出て来たやつ!」


 キャンプに興味はなかったのでスルーしていたのだ。


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