第4話 みんなを守るために…… 14 ―夢の中へ―
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「明日こそ、輝ヶ丘を出ると母さんに伝えないとな……」
自室のベッドに横たわり天井を見詰める勇気は深く溜め息を吐いた。
勇気は肉体的にも精神的にも憔悴していたが、帰宅すると準備だけは終わらせた。輝ヶ丘から去る準備だけは。
ボストンバッグに詰めた物はほんの少しの衣服だけ――友達や母を思い出させる物は全て置いていこうと勇気は決めた。『使命から逃げて輝ヶ丘を去る俺が、この町で過ごした日々に想いを馳せる権利は無い……』、そう思うから。
「昔の俺は《勇気の心》を燃やし、友達を救った……か」
まどろみ始めた勇気は吐息を吐く様に呟いた。
「石塚さん……その頃の俺は……ただ何も考えていなかっただけですよ……ただ幼かっただけ……今の俺はあの頃とは変わってしまったんだ……正義と出会ったあの頃とは……」
勇気はゆっくりと瞼を下ろし、深い眠りへと落ちていく。
―――――
「そっか……繋がらなかったか。うん……うん、分かってるよ、無理はしないって」
勇気が眠りについたと同じ頃、正義は《願いの木》がある部屋に居た。
願いの木に願って出現させたベッドに横になり、愛と通信を取っている。
「うん、ゆっくり休むよ。愛も気を付けてな。何かあったら、その時はすぐに俺を呼べ。うん、それじゃあ、また明日――」
隣のベッドでひと足先に眠りについたボッズーを起こさぬ様に、正義は小さな声で「おやすみ」と告げ、愛との通信を終わらせた。
それから「う~ん……」と髪の毛を掻き回す。
「勇気……お前、何処に居んだよ」
愛から届いた通信の内容は『勇気くんに電話してみたけど、プープーって言って全然繋がらない。もしかしたら電源切ってるかも』というものだった。
「俺達からの連絡、全部無視してよぉ……」
希望を助けた際にスマホを壊してしまった正義も腕時計を使って何度も通信を送ってみた。だが勇気が応答する事はなかった。
「はぁ……」
正義は溜め息をついた。つくに続けて、
「はあぁぁ~~あああぁ~~~」
大きな欠伸も口から飛び出る。
「うぅぅ~~勇気の馬鹿やろぅ……」
正義の体には巨大な疲れが溜まっていた。デカギライと戦ったが為の肉体的な疲れと、行方知れずの勇気を気に掛けるが為に溜まった精神的な疲れだ。
欠伸をかくと、巨大な疲れに伴う巨大な眠気が正義を襲った。その眠気に抗う事なく、正義は深い眠りへと落ちていく。
「ゆうき……お前、ゆうきって言うのか……俺は、あかい……」
そして、夢を見る。
それは"昔々"を思い出す夢。親友と出会った頃の幼い自分を思い出す夢であった――
第二章、第4話「みんなを守るために……」完
第二章、第4話「みんなを守るために……」をお読み頂き誠にありがとうございます。
次回、第5話「俺とお前のオムライス」は、少し時間を過去へと戻して正義と勇気の出会いの物語となります!
ご期待下さいッッッッッ!!!!!




