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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第二章 勇気の英雄の激誕 編

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第4話 みんなを守るために…… 10 ―正義は空を見詰める―

 10


 デカギライとの二回目の戦いを終えた夜、正義は秘密基地に居た。切り株の椅子に座って、夜空を見上げ、右手で髪の毛を掻き回している。


「せっちゃん、リンゴ食べる?」


 そんな正義に話し掛けたのは愛だ。

 正義の向かい側に座っている愛は真っ赤な林檎を差し出した。これは勇気の母を見舞いに行く前に寄った青果店で売っていた林檎、秘密基地に行く前に彼女が買ってきた物である。


「ん? あぁ、リンゴか。後で……で良いや。さっき《魔法の果物》をいっぱい食べたし。今は腹いっぱいだ」


 正義は愛の顔をチラリとも見ずに『後で……』と拒否した。

 拒否された愛は「そっか。美味しそうなのになぁ」と残念そうに笑顔を仕舞い、林檎も太ももの上に置いていたビニール袋の中に仕舞ってしまう。

 愛はボッズーから今日の戦いの顛末を聞いていた。その為に、正義が空を見詰める理由は落ち込んでいるからだと解釈している。『リンゴ食べる?』と誘った理由も正義を元気付けたいが為だった。


「ねぇ、せっちゃん……元気出してよ。落ち込んだせっちゃんなんて、せっちゃんじゃないよ」


 愛は自分の分として切り株のテーブルの上に置いていた林檎を手に取った。その視線は正義から林檎に落とされるが、すぐに彼女は顔を上げた。正義が「元気出せって何の事だ?」と答えたからだ。


「元気出せって言われても、俺はずっと元気だぜ?」


「え?!」


 正義の視線も漸く下ろされていて、愛が顔を上げると目と目が合った。

 正義の首は傾げられているが、顔にはいつも通りの表情があった。それは、いつも通りのニカッとした笑顔だ。


「落ち込んで……なかったの?」

 

「うん! 俺はいたって元気だぜ!」


「そ、そうなの……だって、さっきからずっと静かだし――」


「あぁ、それはなぁ、考え事をしてたからだよ! デカギライとどう戦うか、デカギライをどう倒すかってな――でも、考えるのはもう止めだ、たった今その方法が分かったからな!」


「本体と分身に騙されない方法が見付かったって事?」


 愛はボッズーから戦いの顛末を聞いている。聞いているから本体と分身が厄介だとも知っている――この質問に正義はコクリと頷いた。


「そう、見付かった! めっちゃ簡単な方法だ! 英雄がもう一人いりゃあ良いんだって事に気が付いたんだよ!」


 正義は『もう一人』を強調する様に人差し指をピンっと立て、再び「へへっ!」と笑った。


「英雄は俺一人じゃないからな、そうだろ愛? だからさ、あの時にもう一人がいれば俺は勝ててたんだよ!」


「それは、私とか?」


 愛も人差し指を立て、自分自身を指差した。


「うん、愛とか、勇気とか!」


(まさる)くんや、(ゆめ)ちゃんもいるね!」


「あぁ、そうだぜ! 英雄は本当なら五人だ! こりゃデカギライに勝てるぞ!!」


 ―――――


 この時、正義はダウンジャケットのポケットに手を入れて"腕時計"に触れていた。

 これは正義が無意識に取った行動だ。しかし、正義の心の内が表れた行動でもあった。

 この腕時計の持ち主に『俺は待っているぞ』と気持ちを送る、行動であった。

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