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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第二章 勇気の英雄の激誕 編

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第4話 みんなを守るために…… 3 ―声援が英雄に力を与える―

 3


「ありがとうございます! 頑張って!!」


「がんばれーー!!!」


 セイギとボッズーの背中に声援が届く。


「セイギ、聞こえたかボッズー?」


「あぁ、勿論だぜ!!」


 声援は二人に力を与える。

 空を飛ぶボッズーのスピードは更に速まり、セイギのデカギライを倒す覚悟はもっと強固なものになった。


「ボッズー、あそこにあるビルが見えるか、ヘリポートがあるビルだ! あそこにデカギライを連れていく!! あそこなら人も居ないし、障害物も少なそうだ、コイツと存分に戦える!!」


「おうよ!!」


 ボッズーは上昇を止め、軌道を変えてセイギが指定したビルに向かっていく。


「クッソガキがぁ!! 何が存分に戦えるだァ!! 離せぇぇぇ!!」


 デカギライも抵抗していない訳ではない。しかし、現在のデカギライは大剣を仕舞ったセイギに両腕を体の裏側に捻り上げられている。右手に生えた銃が向くのは己の背中、これでは発砲したくとも、撃てば自分自身に弾丸が当たってしまう。


「ボッズー、バケモノに与えられた《王に選ばれし民》の力はバケモノの肉体が傷付くに伴って弱まるんだったよな!!」


 セイギはデカギライを無視してボッズーとの会話を続けた。


「そうなれば、百体のシードルを倒した時のジャスティススラッシャーじゃなくても、もっと弱い攻撃でもコイツの体から《王に選ばれし民》の力を浄化させられるんだったよな!」


「うん、そうだぞボッズー!!」


 ボッズーは頷いた。

 この頷きを受けて、セイギも頷く。


「だよな! だったら今からやるべき事は決まった!!」


「何がやるべき事だ! ふざけるな!! お前に何が出来るッ!!」


「いや、出来るぜ、俺は斬る!! 俺はお前を斬るッ!!!」


 ボッズーのビュビューンモードはジェットエンジンを稼働させた強力な噴射で飛ぶ。セイギが指定したビルにはものの数秒で近付けた。


「お前の心の中の悪をなぁーーッ!!!」


 セイギはデカギライの腕を捻り上げたまま、自分の頭の上にまで持ち上げた。続けて勢い良く振り下ろす。デカギライを足下に見えたヘリポートに向かって投げる。


「何故なら俺はッッ!!!!」


 セイギは叫んだ。

 直後、ボッズーも動く。ボッズーはセイギの指示を受けなくとも、セイギの要求が分かる。ボッズーは再び"上の翼"に風を吸い込み、"下の翼"から一気に噴射した。向かうは、下降、ボッズーは投げ飛ばされたデカギライに向かって猛スピードで飛んだ。

 ボッズーのジェット噴射は素晴らしい速さだ。勢い良く投げられたデカギライにすぐに追い付いた――接近する間にセイギは腕時計を叩き、大剣を取り出す。


「正義の心で()ぁくを斬るッッ!!!」


 そして、セイギは大剣を振るった。


「グワァァァァッッ!!!!」


 セイギの斬撃も素晴らしい速さで繰り出された。決心を籠めた一振は、デカギライの背中に大きな斬り傷を負わせ、落下のスピードも加速させる。

 キュビズムの顔を激しく歪ませるデカギライはまるで隕石の様なスピードでヘリポートに墜落した。


「赤い正義ッッ!! ガキセイギッッッ!!!」


 デカギライを叩き落としてもセイギは攻撃の手を緩めようとはしなかった。

 ボッズーも同じだ、スピードを緩めない。

 ボッズーはジョット噴射を続け、爆速のままヘリポートに接近する。

 そのまま行けばセイギもボッズーもヘリポートに激突してしまうだろう……だが、そんなヘマをする愚かなボッズーではない。激突するかしないかのギリギリの所まで行くとボッズーは一気に方向転換をした。一気に直角に曲がるとヘリポートと水平に飛び、デカギライに向かって飛んでいく。

 丁度良い、ジャストタイミングであった。ヘリポートに落ちたデカギライがフラつきながら立ち上がったタイミングである。


「これが、お前を倒す男の名前だぁッッ!!!」


 デカギライに接近したセイギは啖呵を切って、同時に大剣を横一線に振るう。


「―――ッ!!!」


 斬られたデカギライはヘリポートの上を水切りの石の様に跳ね、飛んでいく。


「うぅ………うッ………うッ!!!」


 柵の無いヘリポートの縁でデカギライは止まった。その姿はボロボロだ。体に纏った禍々しくも白いコートは大剣によって原型を留めない程に斬り裂かれ、キュビズムの絵画の様なバラバラな顔のパーツも一つ一つが痛みに歪んでいる。


「ボッズー、飛ぶのはもういい! "羽根の爆弾"だ、アレをアイツにぶちこめ!!」


 セイギの攻撃は止まらない。


「これ以上、アイツに誰も殺させない!! もう誰にも恐怖を味合わせたくない!! 今ここで、アイツを倒すんだ!!」


「分かったボッズー!!」


 セイギとボッズーの気持ちは同じだ。

 ボッズーは指示に応えて飛ぶのを止めると、セイギをヘリポートに着地させた。それから、翼をビュビューンモードから通常時の二本の翼へと戻す。


「羽根の爆弾だな! 俺に任せろボッズーッ!!」


 威勢の良い言葉と共にボッズーは翼を大きく広げた。続けて、立ち上がろうとするデカギライに向かって広げた翼をバサリと一振り。すると翼から羽根が飛ぶ。それは左右から五本ずつ、合計十本の羽根だ。


 ザザザッと音を立てて、羽根はデカギライの体に突き刺さった。突き刺さったと確認すると、ボッズーは小さくウィンクをする。これが合図だ。デカギライに突き刺さった羽根はドカンッ!! と大きな音を立てて爆発した。


「グワァーーーーッ!!!」


 セイギが命じた《羽根の爆弾》、それはビュビューンモードやミルミルミルネモード等の変形状態では発動出来ないボッズーの技だ。両翼を羽ばたかせる事で羽根を突き刺し、突き刺した羽根はボッズーの意思によって爆弾へと変わる。

 羽根の一つ一つの威力は大きくはないが、十本もあれば、セイギの一太刀の斬撃よりも強いダメージを負わせる事が出来る。


「う………うぅ……」


 爆撃をくらったデカギライは痛みに身悶え、煙幕の中で膝をついた。


「今だッ!!!」


 この姿を見たセイギは確信を持った。


「ボッズー!! 昨日言ってたヤツ、今すぐ出来るか!!!」


「勿論ボズ!!」


 確信を持っていたのはボッズーも同じだ。『今のデカギライならば、セイギの大剣に溜まった力で倒す事が出来る』と。


「行くぞボッズーッッ!!!」


 そして、ボッズーはセイギの背中から離れ、デカギライに向かって飛んだ。


「見てろよ!! これが《俺のガチ本気モード》だボッズーッッッ!!!」


 デカギライに向かって飛ぶボッズーの体はキラキラと金色(こんじき)に輝き出す――








 



「BANGッ!!!」









 セイギの背後から飛んできた弾丸が、ボッズーを撃ち落とした。

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