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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第二章 勇気の英雄の激誕 編

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第3話 慟哭 1 ―因縁の男―

 1


「BANGッ!! BANGッ!!」


「なんだそれは! ふざけてんのか!!」


 バケモノが口にした『BANGッ!!』――セイギはこれをふざけた嘲りと捉えた。けれど、その考えは間違っているとすぐに分かった。バケモノが『BANGッ!』を口にした直後、構えられた銃から弾丸が発砲されたからだ。


「おッ――!!」


 放たれた弾丸の数は、言葉の数と同じく二発。

 バケモノがセイギに向けた銃口はラッパの様に開いた形をしていた。大きな銃口から放たれた弾丸はラグビーボール程の大きさをした巨大な弾丸だった。

 

 迫り来る弾丸、しかしセイギは避けようとはせず、真正面から迎え討つ。


「オリャーーッ!!!」


 セイギは大剣を振り、弾丸を斬った。


「デャアッ!!!」


 二発目も斬った――直後、再びバケモノが発砲音を口にする。


「BANGッ! BANGッ! BANGッ!」


 続けて放たれた弾丸は三発。

 これを見てセイギは確信する。


「そういう事か……『BANGッ!』を口にすれば弾丸が出る、そういう銃なのか!! 分かりやすいぜ!!」


 セイギはバケモノに向かって走り続ける。

 防戦では勝ちは遠い。相手が飛び道具を使う者でも自ら向かっていく、それがガキセイギの戦い方だ。


「デカイ弾丸だな! 斬りやすくて助かるぜ!!」


 セイギは己に向かって飛んでくる弾丸をバッタバッタと斬っていった。

 バケモノはセイギに攻撃を仕掛けるだけで、その場を動かずにいる。セイギとバケモノとの距離は一気に縮まっていく。


「ドリャ!!!」


 合計五発の弾丸を斬った。

 この時、セイギは考える。


 ― もう足りるか? いや、まだ足りねぇか? いや、まだ仕留めようとは思うな! 先ずはこっちからも仕掛ける、それが大事なんだッ!!


 セイギは自問自答で答えを出すと横一線に大剣を振った。


「行けッッッ!! ジャスティススラッシャーー!!!」


 大剣からは"残像が如く黄金の光"が放たれた。


 セイギの大剣は敵の攻撃を斬ると、斬った攻撃を刃に吸収する事が出来る。吸収した力は、セイギの必殺技と呼ぶべき技=《ジャスティススラッシャー》へと変化して、悪を倒す力へと変わる。

 百体のシードルとの戦いもセイギはこの技で勝利した。が、今回のセイギはジャスティススラッシャーの一発で勝負を決めるつもりはなかった。吸収した弾丸はたったの五発、一発の威力は自分が被弾したのだから知っている。バケモノを倒すには刃に吸収した力が足りないと知りつつも、防戦を終わらせる為にジャスティススラッシャーを放ったのだ。


 だがしかし、


「フンッ!!」


 ジャスティススラッシャーが届く寸前、バケモノは跳躍、姿を消した。


「なにッ!!」


 ガサガサ……


「……ッ!!」


 セイギの背後に立つ木が揺れた。

 セイギは急いで振り返る……が間に合わない、


「BANGッ!!」


「うわッ!!」


 脇腹に弾丸をくらい、セイギは宙を舞った。


 跳躍したバケモノが揺れた木の枝の上に立っていると確認は出来た。だが、出来たとて弾丸を発射されてしまえば意味がない。最前は真正面からの攻撃であったから反応出来たが、弾丸のスピードは不意打ちでは反応し切れない速さを持っていた。


「フハハハハハハハッ! 無様だなぁ、滑稽だ!! お前……もう少し遊び甲斐のある奴だと思っていたが、そうでもないな!!!」


 木々が密集した場所であった為に、セイギはすぐ近くの木にぶつかり地に落ちた。

 その姿をバケモノは笑い、木の上から降りてくる。高笑いを上げながら、セイギに向かって歩いてくる。


「なんだとッ!!」


 セイギはすぐに立ち上がった。

 被弾した脇腹が痺れるくらいでダメージは然程なかった。セイギはバケモノを鋭く睨む。


「『なんだとッ!!』……かぁ、良いねぇ、格好良いねぇ! さぞかし楽しいんだろうな"ヒーローごっこ"は!!」


「その声……やっぱりお前は、あの時のヤツかッ! 希望を誘拐した男だなッ!!」


 勇気を追い掛けている時には突然聞こえた声であったが為にすぐには気付けなかったが、希望の叔父から『誘拐犯の男は化け物の姿に変わった――』と聞いていたから、セイギは『やっぱり』と確信する。

 バケモノと対峙してみれば、バケモノの声は昨日遭遇した誘拐犯の男と全く同じ声だったのだ。

 声が一致すれば、銃を構えるバケモノの姿も昨日の男の姿に重なってくる。


「あの時の? ハハッ!! それはこっちの台詞だよ! お前もだろ? "あの時の"……クソガキが!!」


 そして、バケモノも気付いていた様子だ。セイギが昨日の"少年"だという事に。


「俺は、ヒーロー気取りのお前のせいで捕まったんだ……大嫌いで大嫌いで仕方のない奴等によ!! BANGッ!!」


 バケモノは発砲した。バケモノとの距離は一間も無い。電光石火で飛んでくる弾丸はすぐにセイギの眼前に迫る――だが、今度はセイギの番だった。


「オリャッ!! なめんな!!」


 今度はセイギが跳んだ。意気揚々と歩いてくるバケモノの頭上を跳び越えて、空中で体を翻す。


「デャアッ!!」


 セイギの背中に翼はない。ボッズーがいなければ空は飛べない。跳んだ後は着地に向かうだけ。着地に向かう勢いを乗せて、バケモノの背中に大剣を振り下ろした。


「―――ッ!!!」


 遂にセイギの斬撃がバケモノに命中した。と同時に爆発音が聞こえた。

 バケモノが放った弾丸が最前までセイギの背後にあった木にぶつかり、爆発したのだ。

 弾丸の爆発を受けた木は炎を上げ始める。


「テメェ……やりやがったな!!」


 バケモノは身悶えながらも、腕を振り回して振り返った。セイギに向かって銃を構えるバケモノの姿を燃え上がる炎が照らし出す。


「……ッ!!」


 この時、セイギの心は揺れた。


「こ……これは……!!」


 バケモノはテンガロンハットを斜めに被り、ロングコートを着ていた。そのどちら共が白かった。しかし、ここまでは人間的でもある。だが、問題は帽子の下の顔だった。その顔が、人間がバケモノになるとは何たるかをセイギに教え、セイギの心は揺れたのだ。

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