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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第二章 勇気の英雄の激誕 編

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第2話 バケモノッッッッッ!!!!! 10 ―バケモノッッッッッ!!!!!―

 10


「多分……この人たちはバケモノにやられたんだよ」


「やられた?」


「あぁ、だってそうだろ? この状況はあまりにもおかし過ぎる。それに拳銃を使ったって事は、それ相応の相手とこの人達は対峙したって事じゃないのか? 俺はもう、そうとしか思えないよ……」


 セイギはゆっくりと立ち上がった。


「クソ……」


 セイギは悔しかった。

 パトカーを発見した時、セイギは車内や周囲に人がいないと見えて安堵していた。

 だが、その考えは甘かったと知った。


「俺は既に間に合ってはいなかったんだ……」


「でも、死体……が無いぞボズ」


 俯いていたセイギは、ボッズーに視線を移す。


「それはボッズーの方が俺よりもバケモノに関しての知識が豊富だから分かるだろ。どういうやり方かは分からないけど、死体も無く人を消す……そういう事が出来るのがバケモノなんじゃないのか?」


「……」


 ボッズーはクチバシを噛み締めて、黙った。この表情を見たセイギは思った。『ボッズーもさっきの自分と同じで認める事を躊躇っている』と。だからセイギは敢えて質問を重ねる。『認めなければ先に進めない』と思うから。


「出来るんだろ……バケモノって奴等には?」


「……」


 ボッズーの眉間には深い皺が寄っていく。

 そして、ボッズーもセイギと同じだ。一拍の間を取った。

 それから、認める。「そう……だな」と。


「出来る……だろうな。バケモノなら『死体も無く』なんて簡単だボズ」


 苦虫を噛み潰す様にボッズーは言った。


「やっぱりそうか」


 ボッズーが認めると、セイギは再び腕時計を叩いて白い翼の大剣を取り出す。


「――なら、ここで悠長にしている場合じゃないな。ここに留まるよりも、これ以上被害者を出さない為に俺達は動かなきゃ」


「うん……そうだな、バケモノは近くに居る気がするボズ」


「俺もそう思う、だから、絶対に見付け出してやる……それに、勇気もだ。勇気がバケモノを見付けて通信を送ってきたなら、アイツもすぐ近くにいる気がする。俺はここの周囲を捜すよ、だからボッズーは――」


「俺はまた空から――」


「いや、違う」


 セイギは首を振った。


「ボッズーは勇気の母ちゃんを助けてあげてほしい」


「勇気の母ちゃん?」


 セイギは勇気の母を発見したとボッズーに伝えた。そして、怪我をしている彼女を病院に連れていってほしいとも。


「あぁ、それは良いけど。でも、そうなると俺はこの山から離れる事になるぞボッズー。バケモノが近くにいるかも知れないのに……」


「分かってるよ、一人になる覚悟してる、俺を信じろ」


 セイギは胸を叩いた。セイギはバケモノと戦った経験はまだ無い。だが、一人で戦える自信と覚悟は持っていた――その姿を見たボッズーは渋々と頷く。


「分かった。じゃあ、行ってくるよ。なるべく早く戻ってくるつもりだけど……無理はするなよ。それに、病院に連れていくなら愛の手を借りるだボズ。俺みたいなのが直接連れていくのは目立ち過ぎるだボズからね」


 そう言うと、ボッズーは翼を羽ばたかせて飛んでいった。


「頼んだぜ……」


 ボッズーが飛んでいくと、セイギは「ふぅ……」と息を漏らした。それから、足下にある警官の制服に視線を移す。


「ごめんなさい……助けられなくて」


 セイギは手に持つ大剣を地面に突き立て、制服に向かって手を合わせた。


 そして、また別の制服に向かって歩いていく。


 急がなければならない。けれど、セイギはこの場を立ち去る前に此処にあった命を弔いたかった。セイギは分かっている。『自己満足だろう』と。救えなかった事実は変えられないのだから。


 だけどセイギは……


「あなた達の仇は必ず取ります……」


 全ての命に手を合わせたかった。


 手を合わせ終えると、セイギは大剣を引き抜いた。


 ― バケモノの野郎、絶対許さねぇ……絶対に!!


《正義の心》を燃やし、セイギは走り出す。


 ―――――


 それから――セイギと勇気が再会したのは、このすぐ後の事だった。


 ポツリポツリと雨が降り出し、雨粒の大きさがこれからの大降りを予見させた時、勇気はセイギの前に現れた。


「勇気!!」


 ボッズーと別れた場所では踵にも至らない程の長さだった野草が膝を隠すまでに伸びた場所。

 ガサガサ……と草が擦れる音が聞こえてセイギが視線を向けると勇気はそこにいた。


「へへっ……ビックリしたぜ。バケモノの野郎が現れたのかと思ったぜ」


 セイギは目の前に現れた者が勇気だと確信すると、咄嗟に構えた大剣をゆっくりと下ろした。

 この場所では木々の間隔も密集している。身を隠すには最適な場所だ。


「心配したぜ……全然連絡取れねぇから、もしかしたらって思っちまったぜ」


 勇気は木の陰に立っていた。

 セイギは勇気に向かっていく。

 対する勇気はセイギが話し掛けても動かない。しがみ付く様に片手を木に添えて微動だにしない。厚い雨雲と繁る葉によって辺りは薄暗く、勇気の表情は全く見えない。


「なぁ、何があったんだ? 俺に詳しく話してくれよ」


 セイギは仮面の奥で笑顔を浮かべながら勇気の肩に手を置いた――直後、セイギは絶句する。


「!!!」


 勇気の瞳には一切の光が無かったからだ。


「勇気……おい、どうしたんだよ!!」


 セイギは片手で持っていた大剣を取り落とした。

 空いた手も自然と勇気の肩に置かれて、セイギは驚愕のままに勇気を強く揺さぶった。

 この時までのセイギは、勇気は自分を見ていると思っていた。が、そうではなかった。勇気はセイギを見ていなかった。光を失った瞳でただ虚空を見詰めているだけ。否、視線をそこに置いているだけ――


「……さないで……こ……さないで……」


「え……何? なんて?」


 勇気が何かを呟くと、セイギは勇気の口元に耳を寄せた。


「ころさないで……」


「え……ころす――」


 聞こえた言葉にセイギは耳を疑った。


「殺さないで……? 何言ってんだ、そんな事する訳無いだろ? 俺だよ、勇気、誰だと思ってんだ……俺だ! 正義だよ!!」


 セイギがもう一度勇気の肩を揺すろうとした時、


「撃つなぁぁぁ!!!!」


 この世の終わりを見たかの様な叫喚(さけ)びが、セイギの鼓膜を揺さぶった。


「なっ! ゆ……勇気ッ――」


「撃たないで! 撃たないで! 嫌だよ!!」


 勇気はセイギの手を振り払って駆け出してしまう。


「何言って………勇気、待て!!」


 セイギは急いで大剣を拾い上げて、走った。


「待てよ勇気!! どうしちまったんだよ!!!」


「嫌だ!! 嫌だよ!! 撃たないで!! やめて……殺さないで!!!」


「待てよ、勇気! 行くな!! 勇気ッ!!!」


 その時――



「BANGッ!!!」



「えっ……?!」


 突然、"三人目"の声がした。


 この声を耳にしたセイギは足を止める。


 聞こえてきた声はセイギにとって聞き覚えのある声だった。が……何処で聞いたのか、誰のものなのか、答えを考える時間は与えらない。声が聞こえた方向から煌々と光る何かが迫ってきたからだ。


「うわぁーーーッ!!!!」


 迫ってきた“何か“はセイギに命中すると爆発し、セイギを宙に浮かせた。


「………ッ!!!」


 数メートル先の木にぶつかり、セイギはそれ以上の距離を飛ばされずに済んだ。

 セイギはすぐに立ち上がる。大剣を握り直しながら―― 起こった爆発が辺り一面を一瞬照らし、セイギに教えてくれたのだ。声が聞こえた方向に居る者が何かを。


「来たか……」


 攻撃を受けた場所は右肩だ。ビリビリと痛むが、セイギは気にしない。相手はまだ居るからだ。最前と同じ場所に立っている。木と木に挟まれる形で、片手を上げてセイギを見ている。

 対するセイギも相手を睨んだ。禍々しい程に"白い体"を持つ者を。

 爆発の光で相手は銃を構えていると分かった。片手を上げているのは、その為だ。


「やっと会えたな……」


 爆発は消え、再び辺りは薄暗くなる。白い体も今は灰色、淀んだ灰色に見える。

 しかし、一瞬でも"白"を確認出来たのだからセイギは相手が誰だか分かる。


「バケモノッッッッッ!!!!!」


 セイギは大剣を構え、走り出す。


 第二章、第2話「バケモノッッッッッ!!!!!」 完

第二章、第2話「バケモノッッッッッ!!!!!」をお読み頂き誠にありがとうございます。

これよりガキセイギとバケモノの対決が始まります……が、次回をお楽しみにで御座います!

次回、第3話『慟哭』では、勇気に何が起こったのかも明かされますので、ご期待下さい!


「ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! こりゃ面白い!」と思って頂けたのであれば、感想、ブックマーク、評価を頂けますと幸いです!

レビューを頂けたら更に励みになります!

それでは、次回も宜しくお願い致します!!!!!

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