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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第一章 正義の英雄の帰還 編

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第3話 空が割れた日 4 ―終わってねぇよ!!―

 4


「終わってねぇよ! 勝手に終わらせんな!!」


 弱音を吐いた勇気の耳に、突如溌剌とした勇ましい声が届いた。


「勇気、愛ッ!! 聞こえてっかッ!! 聞こえてたら返事しろッッ!!」


 その声は二人の名を呼んだ――


「この声は……」


 溌剌とした声を聞いて、勇気は起き上がる。


「うそ……」


 それは愛も同じだ。

 勇ましい声に驚いた彼女は辺りを見回す。


「あ、アレ? 聞こえてないのか? もうどうなってんだ、コレ?! なぁ、コレってゴーグルの左端に映ってる四個の腕時計の中で、光ってる腕時計があったら、ソイツの腕時計が起動してるって証拠なんだろ? う~ん……ちゃんと"青"と"ピンク"の腕時計が光ってんだけどなぁ。なぁ、ボッズー! 俺、間違ってないよな?」


「うっさいなぁ! 俺は全速力で飛んでんだ、静かにしろボッズー! さっき向こうの声が聞こえただろ、だったら向こうにもこっちの声は聞こえてるよボッズー!!」


 轟音と目映い光に遭遇した者は、誰しもが皆、『死、破壊、滅亡』などという絶望の言葉を頭に思い浮かべていた。

 しかし、聞こえてくる二つの声は絶望とは真逆にガヤガヤと騒がしい。


 そして、


「は……はは……来たか……来てくれたか」


 声が聞こえた直後から、勇気の瞳には希望の光が蘇っていた。

 何故ならば、勇気の心を染めようとしていた漆黒の闇は、溌剌とした声を聞いた瞬間に清流に流された様に消えていったからだ。

 勇気の目には熱いものが込み上がってくる。人は悲しみに出会った時に涙を流すが、逆でも流す。しかし、勇気は急いで涙を拭った。『"アイツ"に涙は見られたくない』そんな照れを覚えるくらいの希望が勇気の心に戻ってきていたから。


「勇気くん! この声って!!」


 愛も同様だ、萎縮震慄で凍っていた彼女の顔にも希望の花が咲いていた。


「この声って絶対そうだよね、声変わりしてちょっと印象違うけど、間違いないよね!」


「あぁ、そうだ! 言っただろ、アイツは必ず帰ってくるって!」


 勇気も愛も確信を持った、聞こえてきた声がよく知る人物の声に間違いはないと。と同時に声の出所が何処かも二人は知った――勇気と愛は左腕にはめた腕時計を見た。


「「あっ!」」


 腕時計を見た瞬間、二人は驚く。腕時計の文字盤がいつの間にか開いていたからだ。しかも、開いた文字盤の中からは“半透明の赤い球体“が飛び出していたのだから尚の頃驚いた。が、勇気は赤い球体を見た直後に笑顔になる。


「お前……その姿に成れたのか。戦うための姿に!」


 姿――


 そう、腕時計から飛び出すものは球体に見えて球体ではない。

 腕時計を使って通信を取る際には、通信相手の立体映像が腕時計から飛び出すが、飛び出すのは相手の全身ではなく首から上だけだ。ならば、現在腕時計から飛び出している物も“首から上だけ“の姿である。


 ソレは球体に見えて、球体ではない、ソレは姿である――ソレは仮面であった。

 仮面としても顔だけでなくヘルメットの様に頭全体を覆っている仮面だ。目元には鋭く尖った大きなゴーグルがあり、口元には銀色のマスクがキラリと光る、メタリックレッドに輝く仮面だ。


「へへっ! 」


 勇気が腕時計に向かって話し掛けると、赤い仮面がピクリと動いた。仮面は喋り出す。


「その声は勇気だな、そうだよな! うわぁ~~ひッッさし振りだな! 元気してたか?? ………って違う違う! 今はお喋りしてる場合じゃねぇんだ、勇気、愛、この通信が届いたなら話は早い、敵は俺達を待ってはくれなかった! 戦いは始まったんだ、お前達も来いッ!!」


「来いって、そっちは何処にいるの? 輝ヶ丘の大木?」


 今度は愛が話し掛けた。


「大木? いや、違ぇよ! 空の上だ!!」


 赤い仮面は答え、また「へへっ!」と笑った。


「んじゃ、待ってるぜッ!!」


 赤い仮面はそう二人に言い残すと通信を切ったのだろう、立体映像が腕時計の中へと消えていく。


「お……おい! 空って」


 勇気は戸惑いながらも空を見上げた。

 その時、二人の上空を何かが通り過ぎる。


「あ……うわっ!!」

「キャッ!!」


 "何か"が通り過ぎるスピードは速く、強烈な風が吹いた。二人の髪は大きく吹かれ、服が捲られる。

 勿論、強風は周囲にいる住民達にも吹き、紅の穴や穴から現れた光体を見ていた人々も"何か"の存在に気が付いた。


 風に吹かれた誰かが言った。


「あっ! 鳥だ!」


 と、しかし他の誰かはこう言った。


「違う! 赤い流星だ!」


 ……と。しかし、そのどちらともが違う。だが、どちらもが正しくもある。何故なら上空を通り過ぎた何者かは、大きな翼を持ち、真っ赤な体をしていたのだから。


 "大きな翼を持つ赤い流星"は勇気達の上空を通り過ぎると紅の穴に向かって飛んで行った。


「そうか、そういう事か……成る程。桃井、俺達も行くぞ! アイツはまだ諦めちゃいないんだ、俺達も諦めるにはまだ早いぞ!!」


「そうみたいだね!」


「先ずは大木へ行こう! 大木へ行き、俺達も(ちから)を掴むんだ!!」


 勇気は愛に向かって勇ましい宣言をすると、それからもう一度空を振り返る。

 勇気は目に焼き付けたかった。紅の穴に向かって飛んでいく"彼"の姿を、共に世界を守ると誓った親愛なる友の姿を。


「……それにしても、相変わらず騒がしい奴だ。しかし、流石だ。お前らしいよ、一番最初に飛び出すなんてな。だが、待っていろ。俺もすぐに追い付く、そして――」


 勇気は照れくさそうに笑った。


「待っていたぞ……正義せいぎ!!」

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