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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第二章 勇気の英雄の激誕 編

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第6話 勇気の心を武器にして 7 ―勇気を惑わす声―

 7



 一度でも悪魔に目を付けられた人間は、どんなに光を求めても逃れる事は出来ないのか――



「やめろ………やめてくれ……頼む……もういい……」


「どうしたの! 勇気くん!!」


 勇気は突然苦しみ出した。爪を立てた手で耳を押さえ、髪を振り乱し……謎の声が聞こえていない愛から見ても、勇気に異常が起きたとは明白だった。


「どうしたの、勇気くん落ち着いて!!」


 苦しむ勇気の姿は地獄の業火に焼かれる罪人の様だ。愛は咄嗟に勇気の体に腕を回した。勇気の動きを止めようとする。


 だが、無理だ。


「ウォォォォォォォオ!!!!」


「勇気くん!! どうしたの……どうしたのよ……」


 勇気は愛の腕を剥がし、獣の様な咆哮を上げながら涙を流した――


『惑わされるな、その女は、お前を騙し、嘲笑っているだけだ』


「違う! 桃井はそんな女ではない!」


『では女の顔を見てみろ、お前を気味の悪い生き物として、見ている』


「違う!!!」


『お前は我の仲間と、なるべき、者、』


「違う……俺は……俺は……」


『否定するな、するのならば、分からせよう、お前の存在が、お前を、友と呼ぶ者の、死を招くと』


 ―――――


「放せ! 放せッ!!!」


「放さねぇよ! 放してたまるか!!」


 ガキセイギは暴れるデカギライを更に強い力で絞め上げた。

 ガキセイギとボッズーは夜に向かう輝ヶ丘の空を高速で飛んでいた。目的地は前回の対決の舞台となったビルの屋上だ。


 ― あの場所なら俺の作戦は実行出来る!後は勇気が来てくれれば……


 セイギはそう考えていた。


 しかし、そんな彼をどこか遠くから見詰める目があった―――その者が居る場所は何処を見渡しても真白き世界。そして、その場所で"空中に浮かぶ巨大なスクリーン"を見る者が二人。


「なぁ~~~にをやってんだアイツはッ!! 簡単に捕まりやがってッ!! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ッ!!」


 二人の内の一人はデカギライにヤジを飛ばしながら、怒っているのかそれとも笑っているのか、どちらとも取れる表情でスクリーンに向かって叫んでいる。


「馬鹿とは言わないでぇ~~~♪ 彼は私の芸術ですぅ~~♪ 彼もまた最高傑作ぅ~~~♪」


 もう一人は歌う様に喋る者。


「ケケ!! 何が芸術ぅ~~だッ! お前の作った作品はどれもポンコツぅぅ~~だよッ!!」


 デカギライにヤジを飛ばす者は唾を飛ばしながら歌う者の三角頭巾を剥ぎ取ると、歌う者の頭に向かって拳を振り下ろした。


「あぁ~~~♪ イタタタタァ~~~♪♪ ピエロよ貴方のパンチは痛ぃ~~~♪♪」


 そう、歌う男を殴った存在はピエロであり、もう一人は――


「ケケケケケ!! ヘタクソな歌を歌うんじゃねぇよ芸術家ッ!!!」


 ――芸術家である。


《王に選ばれし民》の二人だ。


「うぅぅ~~♪ 私は歌が上手ですぅ♪ 下手に聞こえるのは貴方の耳がおかしいからぁ~~~♪」


「うぇ? 俺の耳がおかしい? んぅ確かに、耳糞が詰まってる感じがするなぁ! ホジホジホジ!」


「うぅぅ~♪ 人前で耳をほじらないでぇ♪ 貴方はなんて下品な人なの♪ とてもとても汚いぃ~~~♪」


「汚くない汚くない!! ぅおっ……きたきたこりゃデカイ! ぅおっ、ぅおっ! ぽんっ!!」


 ピエロの耳は人間の耳と変わらない大きさだ。しかし、ピエロの耳から出てきたソレは野球ボール程の大きさをしていた。


「ふぅ~~良い大きさだな! で、これを二つに分けてぇ~~ケケケケケケケケケッ!!!」


 ピエロは下品に笑いながら、二つに分けたソレを掌の中でクルクルと捏ね始めた。


「うぅぅ~~~♪ とてもとても汚いぃ~~~♪」


「丸めて丸めてぇ~~~!! そして投げぇるっ!!」


 ピエロは丸く形を整えたソレを、目の前のスクリーンに向かって投げた。


 ―――――


「ん? なんだボッズー?」


 夕空を飛ぶセイギ達の斜め下が目映く光った。


「ボッズー、どうした?」


「いや、今一瞬……」


『何かが光った』とボッズーが言おうとした瞬間、光を放った場所に灰色の玉が現れる。


「な、なんだボズ!!」


 現れた玉は二つ、二つの灰色の玉はセイギとボッズーに向かって飛んでくる。


「な……なにかがこっちに向かって来るぞボッズー!!!」


 ボッズーは飛んでくる玉を避けようと旋回する……が、玉のスピードが速い。


「ボッズー、どうしたんだ?」


 セイギはまだ玉の存在に気付いていない。否、気付く間も与えられなかった。


「あぁ、ヤバイ! ぶつかるぞボズーーッ!!」


 何故ならもう遅いからだ。高速で飛んできた二つの灰色の玉は、ボッズーが旋回を為し遂げる前にボッズーとセイギにぶつかった。


「うわッ!!」


「あぁッッ!!!」


 灰色の玉は爆弾であったのか、セイギとボッズーにぶつかると大爆発を起こした。

 そして、衝撃を受けたせいでセイギはデカギライから手を放してしまう。


「アァッ!!」


 それはボッズーも同じくだった。セイギの背中に掴まっていたボッズーも、爆発の衝撃でセイギから手を放してしまった。


「うわーーーーッ!!」


 セイギ、ボッズー、デカギライの三人は真っ逆さまに落ちていく。『このままでは地面に堕ちてしまう、どうすればいい!!』……こんな考えを巡らせる暇もない、三人はアスファルトの地面に墜落した。

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