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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第二章 勇気の英雄の激誕 編

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第5話 俺とお前のオムライス 18 ―約束―

 18


()ぁ~く束しろい!!」


「止めろ赤井!! 分かった、分かったから!!」


 山田は突進してくる正義を押し返した。力は強くない、笑顔になった山田が正義を強く押す事はないのだから。だから、押し返されても正義は川には落ちない。落ちないから正義の突進はまたすぐに来る。


「いいや分かってない!! ()ぁ~く束しろい!!」


「いや、だからぁ! 分かったって言ってるだろ、だから来るなってぇ!!」


 山田は焦っていた。何故なら『分かった! 約束する!』と伝えても何故か正義の突進は止まらなかったからだ。


「いんや、行く!! ()ぁ~く束しろい!!」

 

 正義が突進をやめない理由は正義が馬鹿だから……ではなく、笑顔を浮かべて『約束する!』と答えた山田の反応が正義からすれば意外なもので、脳がエラーを起こしてしまったからだ。『分かった! 約束する!』も『嫌だ! 約束しない!』に聞こえてしまっているのだ。


 でも、山田と出会ってまだ日が浅い勇気は山田の言葉をキチンと理解出来ていた。


「正義くん、もう良いって!」


 その為、山田が『約束する』と伝えてからは勇気も正義を止める立場に回っていた。


「いんや! 良くない!! ()ぁ~く束しろい!!」


「赤井!! 俺の話を聞けって!!」


「正義くん! 止まって!!」


 三人はこんなやり取りを十回以上も繰り返していた。だが正義は止まらない。だから勇気は強行手段に出る事にした。


「正義くん、止まれって!!」


 勇気はそう言って正義の脇の下に両腕を差し込み、正義を羽交い締めにした。


「うわぁ!! 勇気ぃ〜何で止めるんだぁ~~!! 約束しろ~~!!」


 勇気に羽交い締めにされても正義はまだ突進を続けようとする。前進は封じられたが足は止まらず、犬の様に土を掻く。


「正義くん! 止まってよぉ!!」


 勇気は思いきって正義を空中に持ち上げた。が、それでも正義は止まらない。正義の足はバタバタと空を切る。


「勇気ぃ! 何にすんだよぉ~~やめろぉ~~!! 約束しろ~~!!」


「だから!! 俺は約束するって言ってるだろ!!」


 ……と山田が言っても、


「するなぁ!!! 約束しろい!!」


 正義は山田の言葉を真逆に捉えてしまう。


「もう……何なんだよぉ」


 勇気は嘆いた。


「マジで……」


 山田もだ。


「………」


「………」


 そして、同じ気持ちを抱いた者同士、二人は自然と見詰め合った。


「ふっ……」


「ははっ……」


 二人は自然と笑い合う。

 勇気も山田も始めは小さな声で。でも、笑顔は一緒に笑い合える相手がいれば大きく膨らんでいくもの。二人の声はすぐに大きくなった。


「え? なに?? なになになに??」


 流石の正義も笑い合う二人を見れば『何かが違う?』と気が付いた。正義の動きはやっと止まった。


「えぇ〜? な、なんで二人とも笑ってんの??」


「もう良いんだよ、正義くん! もう終ったんだ!」


 笑いながら勇気は、正義を地面に降ろした。


「えぇ? 終った……そうなの?」


「あぁ、さっきからそう言ってるだろ! 約束するって!」


 山田は正義に向かって頷くが、


「え?! なんてぇ?! 山田、日本語しゃべれ!」


「はぁあ? お前こそ、日本語分かれよ!」


 正義はまだまだ山田の言葉が理解出来なかった。

 そんな正義の肩を勇気が叩く。


「正義くん、山田は約束してくれるって言ってるんだよ!」


「えっ!! 本当に??」


「本当だよ! さっきからお前に何度もそう言ってんだろ!」


 山田は言うが、


「え? なんてぇ??」


 やっぱり正義には山田の言葉は通じない。そんなやり取りを三人がしていると、


「ヤマァ!!!」


 篠原の声が聞こえた。その声はとても慌てていると聞こえる。声が聞こえた方向を三人が向くと、篠原が走ってきていた。


「どうしたんだよ?」


 山田が声を掛けると『熊が町に降りてきた!』みたいな声を出しながら篠原はこう言った。


「ヤバイよ! ヤバイよ! 先生がこっちに来てるよ! 桃井達も一緒だ、アイツ、先生にチクったみたいだ!!」


「えっ! マジかよ!!」


 山田の顔は『ヤバイ!』と言った。

 それから山田は正義と勇気をチラリと見る。口がモゴモゴと動くが、


「あ……あの、えーっと……ご、ご、ごめっ! じゃ、じゃあな!!」


 とだけ言って、山田は篠原と共に走り出してしまった。


「お、おい、山田! 約束したなら勇気に謝れよぉ~~!!」


 正義は逃げ出した山田の背中に向かって声を張るが、


「ははっ! 良いよ、それより約束してくれた事の方が大事さ!」


 勇気は満足そう。満面の笑顔だ。


「えぇ~だってぇ~!!」


「良いんだって、それよりも先生が来てるって言ってたね、俺達もここから逃げた方が良いんじゃないかな? 先生に見付かったら、俺達きっと怒られちゃうよね?」


「え? あっ……確かにぃ!」


 教師はいつも喧嘩両成敗だ。子供に『喧嘩する事自体が悪いんだ!』と教える事が教師の役目だからだ。


「正義くん、俺達も逃げよう!!」


「うん!!」


 正義が頷くと、二人も走り出した。

 でも、二人はすぐに捕まってしまう。二人が川原から上がろうと階段に足を掛けた時、頭上に鋭い視線を感じて顔を上げると、そこには担任教諭が居たのだ。

 山田と篠原は上手く逃げられたらしいが、担任教諭を呼んだのはやはりパンダ公園に居た面々であり、愛や隆たちであった。

 それから二人は学校に連れて行かれて、母親を呼び出されて、それはもうこっぴどく叱られる事になるのだ――


 結局山田は正義と勇気にちゃんとした言葉で謝りはしなかった。でも、次の日からの山田は少し恥ずかしそうな顔をしながら『なぁ、お前らってゲームとかやんの?』とか『好きな漫画ってある?』と二人に話し掛けるようになる。


 数ヶ月後に転校してしまう迄は。

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