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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第二章 勇気の英雄の激誕 編

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第5話 俺とお前のオムライス 15 ―勇気が危ない!!!―

 15


「勇気からそんなの聞いてないよ! なんで早く言わねぇんだよ!!」


「だって、青木くんがせっちゃんには言わないでって言ったから……それに私はてっきり、青木くんの方から聞いてるって思ってたし」


 愛は正義に伝えたのだ。山田が正義を呼び出そうとしていた事を。そして、勇気から口止めをされていた事を。


「だからって本当に言わないのかよ!」


「だって……」


「正義、それは仕方ないよ、桃井さんは黙ってろって言われたんだから。ねぇ、桃井さん?」


 正義の激しい吠え声から愛を庇った人物は隆だ。山下に行っていた紋土と拓海も、駄菓子を食べながら隆に同意して頷いている。


「うるせぇ! カッコつけんな! お前ら友達が心配じゃないのかよ!」


 正義は三人を睨みながら跨がっていたパンダの遊具から降りた。


「せっちゃん、黙ってた事は謝るね。でも、それよりも青木くんの塾って本当なのかな? 青木くん、せっちゃんに伝えるって私に嘘ついて、その後に"急に"せっちゃん達と遊ぶのも断るって、何か私、嫌な予感がするの……」


「そんなの嘘に決まってんだろ! アイツは俺の代わりに一人で行ったんだよ!」


 正義は愛が言いたかった事を既に理解していた。だから吠えていたのだ。だから悠長に構えている友達にも苛立った。


「拓海、自転車貸してくれ!!」


 正義は拓海に向かって手を伸ばした。正義達四人の中で自転車に乗ってきていたのは拓海だけだからだ。


「良いけど、どこに行くつもりなの?」


「そんなの決まってんだろ! 勇気を助けに行くんだよ! 山田の野郎、俺が来ないっての知ったら絶対に勇気に手を出す!! アイツ、このままじゃ酷い目にあっちゃうよ!!」


「それじゃあ先生を呼んだ方が良いんじゃない?」


 正義に意見をしたのは、愛の友達であり、愛を追いかけてパンダ公園に戻ってきていた果穂だった。

 しかし、正義は彼女の言葉に聞く耳を持たずに「そんな暇ないって!」と言い返す。


「勇気は俺を守ろうとしてくれたんだよ、だから俺の代わりに行ったんだ!! だったら俺が助けに行かなきゃダメだろ!! 勇気はスゴい奴だよ、スゴい奴の友達なら、俺もスゴい奴にならないとッ!!」


 正義は拓海から自転車の鍵を受け取ると、腕を振り回して走り出した。


 正義は何故、勇気を『スゴい奴だ』と思うのか、それは今までの正義の友達には山田を恐れる者しかしなかったからだ。だが、勇気は違った。勇気はたった一人で山田と戦いに行った。それも、自分の怒りをぶつける為でなく、正義を守る為にである。だから正義は『勇気はスゴい奴だ』と思った。そして嬉しかった。そして『自分も友達を守る為に行動出来る男になりたい』と思った。


 だから正義は走る。公園を飛び出し、拓海の自転車に跨ると、全力でペダルを回した。


 ― いま何時かな? 山田が俺を呼び出そうとした時間は十六時、それは完全に過ぎてる、ヤバいよ……このままじゃ勇気が殺されちゃうかも!!


 この考えを大人が聞けば、『子供の喧嘩で殺されるなんて』と笑うかも知れないが、子供である正義は本気だった。本気でそう思っていた。


 ― 急がないと! 急がないと!


 正義が最前まで居たパンダ公園は輝ヶ丘の南部にある。反対に山田の呼び出し場所である小川橋は北部だ。輝ヶ丘は広い町である、正反対の場所に行くには、どんなに自転車を飛ばしても、確実に十分近くは掛かってしまう。だから正義は休まずに足を動かした。グルグルとグルグルと、バターになってしまっても構わないくらいに。

 猛スピードで爆走する正義は、南部を一気に駆け抜け、中心部に入り、ピカリマートの前を右に曲がった、それから更に右に左にと自転車を走らせ、小学校の真横を通り、更に右に左にと走る。信号無視はしないが、神が正義に味方をしてくれているのか、赤信号に当たる事は殆どなく、信号は青ばかり、車輪は回り続けた。正義の息は上がっていくが、気にはしない、気付いてもいない、それほど正義は必死だった――必死だったからだろう、正義は僅か五分程で小川橋が目視出来る場所まで来れた。


「あの野郎!!」


 橋が見えた瞬間、正義は怒鳴り声をあげる。篠原の姿を見付けたからだ。


「篠原テメェーー!!!」


 篠原は橋の欄干に寄り掛かって空を見詰めていたのだが、正義の声が耳に入ったのだろう、視線は空から地上へと落ちて、その口は『あっ!』と開いた。


「勇気はどこだぁ!!」


 篠原を見付けた正義は更に自転車の速度を上げていく。グルグルと回され続けた足は既にバターに成りかけていたが、完全に変貌する前に正義は橋へと到着した。

 橋に着けば自転車は用済みになる。自転車から飛び降りた正義は「篠原ぁ!! 山田はどこだぁ!!」と詰め寄り、篠原の胸倉をむんずと掴んだ。


「山田はどこだぁ!! 勇気はどこだぁ!!」


「知らない!! 知らないよ!!」


「知らばっくれるな!! 本当の事を言え!!」


 正義の勢いは激しく、表情は鬼の形相だ。

 もしも、この時に周りに誰かが居たのならば、正義が悪役と思われてしまっただろう。


「知らない! 知らないよ! ヤマァも青木もどこにもいないよ!!」


 篠原はシラを切った。でも篠原の嘘はすぐにバレてしまう。何故なら、


「約束をしろ!! 約束すると言え!!」


「言うか!! そんな約束はしない!!」


 正義と篠原の争いとはまた別の争いが、橋の下でも行われていたからだ。


「今の声は――」


 二つの声を聞いた正義はすぐに気付いた。


「勇気と山田か………そうか!!」


 正義は篠原の胸倉から手を離し、再び走り出す。

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