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あの人

作者: Arisa

好きな人がいた。

でも気が付いたら彼は私の親友の彼氏になっていた。

私の方がもっと先に好きになったのに。

私の方が絶対幸せにできるのに。

彼女たちが目線を合わせると彼らには笑顔が溢れる。

それを見て私は涙が溢れる。

何で行動しなかったんだろうという後悔とともに。

惚気話をされるたびに愛想笑いの裏腹に心はずっと泣いていた。

そんな痛みに何度も何度も耐えてきた。


好きだと言ってくれる人が現れた。

あの人の親友だった。

一度目は断った。

気持ちが消えていなかったから。

でも、もう私のものにはならない。

彼らが付き合って1年たって、ようやく分かった。

だから二度目はいいよと答えた。

あの人を忘れたかった。

自分だけ惨めな思いをしたくなかった。

親友にあの人が好きだとバレたくなかった。


好きな人と好きだった人と4人で遊んだ。

いわゆるダブルデートをした。

女慣れしている彼氏がドアを引いてくれた。

親友は私の彼氏が紳士で羨ましいと言った。

でもあの人が親友を見つめる優しい目線の方が私は羨ましい。

その人が同級生であろう女の子に話しかけられて、冷たく返した。

親友はため息をつき、私の彼氏は誰にでも優しくて羨ましいと言った。

でも私は彼が他の女子とよくラインしているのを知っていた。

彼女を一番に考え、他の女子には素っ気ない態度をとるあの人の方が断然いいのに。

あの人の悪口を言われるたびに、じゃあ私にちょうだいよと言いたかった。

でも笑ってごまかすしか私にはできなかった。


親友とあの人が別れた。

親友が冷めて振ったんだって。

何だか目が覚めたような気持ちだった。

私は何で付き合ってるんだろう。

急に彼氏に申し訳なくなった。

今もなお、あの人が忘れられない私がどうしようもなく嫌いだ。

彼氏と向き合うようになった。

あの人の代わりとして見ていたことに罪悪感を感じた。

彼氏を一人の人間として、私の彼氏としてちゃんと向き合おうと思った。

彼氏の浮気がパタっと治った。

今まで以上に好きでいてくれるようになった。


時間を重ねていくうちに、この人を大切にしようと心のそこから思った。

あの人への思いは墓場まで持っていくと決めた。

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