表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テンプレ勇者の一目惚れラブロード  作者: しぇいく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/49

未来の少女


 「……というわけで、その転送魔法でここに来たのが、さっきなんです」


 小さな焚き火の前で、ユキと名乗った少女は、淡々と語った。


 俺は話を聞いた後、黙って夜の星空を見上げた。


 「そうですよね……こんな重たい話をされても困りま__」


 「__なんて事だ……」


 「はい?」


 「その“女神”って……金髪で、青い目で、異常なほど美しくて……」


 「はい、そうです。すごく綺麗です」


 「絶対そうだ…………」


 俺は思わず立ち上がり、髪をくしゃくしゃとかき乱した。


 「アオイ……!」


 彼女の……名前!!!!!!!!!


 あの人の名前が、“アオイ”。


 アオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイアオイ!!!!!!!


 「リュ、リュウトさん?」


 「わあああああ!!!アオイさーーーーーーん!!!!!」


 「うわぁ……いつものリュウトさんだ」


 ドン引きしながら答えるユキ。


 「ちょっと待て、まさか、君のお母さんって……アオイさん?」


 俺は深く息を吸って訊いた。


 「はい!そうです!自慢のお母さんです!」


 「オウマイガ!!!!」


 崩れ落ちた。

 座り込んだ地面の冷たさすら、今の俺には感じられなかった。


 (未来で、アオイさんは子供を産んでいた?でもこの子は俺を父親と呼んでいない……ってことは)


 ――俺は、アオイさんと結婚できなかった……?

 

 その事実が胸に刺さり、ぐらりと意識が揺れる。


 なんだ、これ……


 「……もう死のうかな……」


 呻くように呟いたその時。


 「あ、お母さんと言っても育ての親ですよ」


 「……あ?よ、よし? え、えと」


 慌てて態度を整えようとしたが、すでに心はぐちゃぐちゃだ。

 平静を装うのに、ここまで必死になったのは初めてかもしれない。

 

 「フフッ。隠さなくてもいいですよ。リュウトさんがお母さんに恋してること、私は知ってますから」


 「……そ、そうなのか……」


 「はい、と言うか、お母さん以外みんな知ってると言うか……」


 隠すつもりはなかったが、知られていると分かると急に恥ずかしい。


 「未来の俺はプロポーズしなかったのか?」


 「未来のリュウトさんは……その……」


 「死んだのか」


 言いながら、火にくべた枝がパチンとはぜた。


 「はい……お母さん……女神に騙されて死にました」


 あぁ、それなら納得だ。

 あの人の前では俺は冷静にいられない。

 例え、中身が違っていても判断が鈍っているだろう……


 「そうか」


 「……私はどうしたらいいでしょうか?」


 「未来を変えればいい」


 「未来を……?」


 「そう。今、君がこうして俺に未来の話をしてる。それだけで、もう未来は変わってるはずだ」


 「じゃあ……みんなに話しまくればいいんですかね?」


 「それも一つの方法だが、リスクも大きい」


 「リスク?」


 「例えば、今回、俺の元へ来たのは当たりだったとして、他の好感度のない人間に今の話をしてもアオイさんに不信感を持ち続けることになるだけだ、最悪の場合、世界が終わる前にアオイさんを殺すかもしれない」


 「リュウトさんは違うんですか?」


 「俺の場合はそう言う状況に対して知識があるし、何よりアオイさんを殺さない、アオイさんを殺すなら俺が死ぬ」


 「確かに、リュウトさんはそう言う人ですね……」


 「だから、こっから先は慎重に立ち回った方がいいだろう」


 「なるほど……」


 ユキは頷きながら、焚き火の炎をじっと見つめた。


 「ちなみに……君は、俺のパーティーメンバーだったのか?」


 「元々は、そうでした」


 「抜けたのか? 理由は?」


 「え、聞きます?」


 「未来の俺が悪い事をしてたなら治しとかないとな」


 「いえ!リュウトさんが悪いわけじゃありません!」


 顔を赤らめ、ユキは唇をきゅっと結んだ。


 「……その、私が……ヒロユキさんに恋をしたからです」


 「……なるほど。それなら、抜けるのは正しい判断だ」


 「未来のリュウトさんも、そう言ってくれました」


 「恋については、痛いほど気持ちは分かるからな……。じゃあ、君はヒロユキのパーティーに?」


 「はい」


 「よし、決まりだ。これからはヒロユキの元で動いてくれ。未来のことを話すかは、君に任せる」


 「分かりました。がんばります!」


 ユキは満面の笑みでうなずいた。


 少しずつ、空気が和らいでいく。


 そして、焚き火の火が揺らぐ中で、ユキがぽつりと口を開いた。


 「あ、もうひとつ。かなり重要なこと、言い忘れてました」


 「?」


 何気ない冗談かと思った。

 けれど――


 「ヒロユキさんは、お母さんの弟です」


 「……っ!!!!」


 「フフッ。つまり、リュウトさんと私がうまくいけば――」


 「……俺たちは、親族……」


 「そういうことです、義理兄さん♡」


 「全力でお互いの恋、実らせよう。義理妹よ」


 「はいっ!」


 俺たちは、力強く握手を交わした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ