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テンプレ勇者の一目惚れラブロード  作者: しぇいく


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8/49

終わり。



 世界が――終わる。


 それは、たった一人の“女神”によって。


 太陽は消え、空には光も風もない。

 すべての命が絶え、残されているのは勇者パーティーの亡骸と私。


 『キャハハハハハ♡』


 全てが美しい“女神”――金色の髪に真紅の瞳、吸い込まれそうなほど白く光る肌。

 その背には、黒く禍々しい漆黒の翼。


 世界の終焉をも着こなす彼女の美しさ。


 『これで、全部終わりね♪』


 彼女は嬉しそうに笑っていた。

 だがその中には、“私”の母がいる。


 「お母さん……助けて……!」


 涙をこらえて、私はその身体の奥にいる母に声を届ける。


 『キャハハハ♡ 無駄よ? アオイちゃんは、完っ全に私に“食べられた”んだから♡』


 「……そんな、こと……」


 『じゃあね、ユキちゃん。ばいばーい♪』


 女神が片手を上げ、小さな魔法陣を指先に展開する――その瞬間。


 『__っ!?』


 動きが止まった。


 『……さすがね。勇者に選ばれるだけのことはあるわ。アオイちゃん』


 「……っ!? いま、“アオイちゃん”って……!」


 まだ、中にいる。

 彼女の心が、完全に消えていない!


 「お母さん!!」


 『う、ぐ……や、やぁ、ユキちゃん……元気……かな……?』


 その声に、私は涙を溢れさせる。


 「お母さん……!」


 『あ、はは……ごめんね、お母さんダメだったみたい』


 「そんなことない! 何も悪くない! 今だって、私のために……!」


 『ありがとう……でも……もう、時間がない……』


 次の瞬間、母の魔力が働き、私の足元に魔法陣が浮かび上がった。


 「転送魔法……!?」


 『最後のお願いだよ、ユキちゃん……世界を救って』


 「私が!?どうやって!」


 『大丈夫……君は……俺の娘だから……』


 「…………っ」


 『心が挫けそうなときは、俺の言葉を思い出して』


 ――私は思い出す。


 「“お前を信じる、俺を信じろ!”――そう、ですよね。お母さん……!」


 母は小さく笑った。


 そして、魔法陣が光を放つ。


 私の体が光に包まれ、ゆっくりと分解されていく。


 『君は本当に……最高の娘だったよ』


 最後に見た母の顔は、涙を浮かべながらも――微笑んでいた。


 ――そして私は、過去へ送られる。


 


 物語は、終わらない。


 希望をつなぐために、“私”はまだ生きている。


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