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テンプレ勇者の一目惚れラブロード 〜勇者がヒロインと結婚するまで〜  作者: しぇいく
第二章 アオイさん!好き!

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スラッシュゴルドラ討伐


 リュウトさんが動いた。

 きっと、何か思いついたんでしょう。


 「はぁぁあ!!」


 この状況で、普通の奴隷なら置いて行かれたと思うはず。

 でも、リュウトさんは違う。


 なら、私は――


 「全力で時間を稼ぐ!」


 自分に注目を向けさせるため、あえて正面から仕掛ける。

 本来なら私より強い相手……だけど!


 「もきゅ!」


 ゴルドラが攻撃モーションに入った瞬間、アールラビッツが横から打ち込み、隙を作ってくれる!


 「ありがとうございます!」


 「もきゅ!」


 これなら、まだ戦える!


 「はぁぁ!!」


 小さくしたハンマーを壁に投げる――その瞬間、元の大きさへ戻す。


 「__!」


 着弾と同時に、砕けた岩の裂け目からマグマが噴き出し、ゴルドラは頭から浴びる形になった。


 「ダメージにはなりませんが、目眩ましにはなります!」


 今は、数秒でもいい。時間を稼ぐ!


 「____」


 案の定、ゴルドラは鬱陶しそうに身を引いた。


 「そこです!」


 呼び戻したハンマーで足場を叩き崩す。


 「__!?」


 踏み出すはずの場所が消え、巨体がわずかに揺らぐ。


 「むっきゅ!」


 その隙を逃さず、アールラビッツが勢いよく蹴り込んだ。


 「__!!!」


 体勢を崩しながらも鎌が振り下ろされる。

 当たらない攻撃と分かっていても熱風が頬を掠め、恐怖心を煽ってくる。


 「まだ、まだです!」


 攻撃はしない。

 倒す必要もない。


 狙うのは“苛立ち”。


 「ほら!こっちですよ!」


 わざと距離を詰め、すぐ離れる。

 鎌を振らせ、跳び、避け、また視界に入る。


 時間は稼げている!


 「くっ__」


 止まれば終わる。


 「むきゅ!」


 アールラビッツが再び跳び、顔面へ体当たり。


 「助かります!」


 信じて、耐える。


 ____そして!


 「悪い!待たせた!」


 「リュウトさん!」


 「これを使え!アールラビッツ!」


 リュウトさんが投げたのは……装備?


 それは空中で展開し、アールラビッツの前足と後ろ足にそれぞれ装着される。


 「きゅ?!」


 「これで鎌も怖くないだろ!しかも威力も強化してある!」


 「きゅ!!」


 言葉が通じているのか、アールラビッツは迷いなく鎌へと跳んだ。


 その瞬間――


 スラッシュゴルドラの鎌が、無惨に砕け散る!


 「__!?」


 折れた巨大な鎌が、くるくると宙を舞い、壁へ突き刺さった。


 「よし!上出来だ!」


 いやいやいやいや! 上出来!?


 今の間に作ったんですか!?

 この何もない場所で!? リュウトさんが!?


 あ、あの……えっと、それ……装備屋さん悲しみません?


 とにかく! やることが規格外です!


 さすがリュウトさんです!


 「遅くなったな!すまん!」


 「いえ! むしろこの短時間で作ったなんて……すごすぎます!」


 「即興だから少し不安だったが、上手くいってよかった。さぁ! 俺たちも行くぞ!」


 「はい!」


 鎌を失ったゴルドラは、怒りに任せて残った片鎌を振り回す。


 「荒れてますね!」


 「鎌を失ってバランスも崩れてる。さっきより隙が多い――つまり、今が攻め時だ!」


 「きゅ!!」


 強化装備をつけたアールラビッツが、真正面から突っ込む。


 ゴルドラが鎌で迎撃しようとするが――


 ガギンッ!


 装備が鎌を弾き返す。


 「よし、そのまま押せ!」


 「むきゅうう!」


 連続の蹴りが叩き込まれる。


 「__!」


 ゴルドラが大きく体勢を崩した。


 「アカネ!」


 「はい!」


 ハンマーを最大化し、渾身の一撃を振り抜く。


 巨体が傾き、マグマ湖の縁へと滑る。


 「リュウトさん!」


 「任せろ!」


 投げ放たれたレイピアが、顔面の関節部に突き刺さる。


 「今だ!ウサギ!」


 「きゅああ!!」


 レイピア目掛けて全力の蹴り。


 その瞬間、刻まれていた魔法陣が発動し、爆発が起こった。


 「____ッ!!」


 「あれは!?」


 「ちょっとした魔法さ。火打ち石みたいなもんだ」


 爆発に弾き飛ばされた顔が、べちゃりとマグマへ落ち、溶けながら沈んでいく。


 「__!!!!」


 「アカネ! ウサギ! あいつはもう死ぬ、退避だ!」


 「はい!」


 「もきゅ!」


 リュウトさんの言葉通り、頭部を失ったスラッシュゴルドラは、しばらく暴れ回った後、やがて動きを止めた。


 「……倒した、ですか?」


 「……ああ」


 頭を失った巨体は、完全に沈黙している。


 「きゅ」


 アールラビッツが誇らしげに胸を張った。


 「大手柄だな」


 「三人で勝ちましたね!」


 「ああ。誰一人欠けずにな」


 灼熱の最奥。


 マグマの滝が轟く中。


 三人は、巨大なカマキリを討ち取った。


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