白兎!再登場!
「足滑らせて落ちるなよー」
「は、はい!」
火山洞の奥。
ギルドで整備された道を外れ。
正真正銘、自然が作り出した道を“潜る”
現在、俺たちは装備に鉤爪のようなものをつけて小さな穴を登っている。
人1人がようやく入れる閉所恐怖症なら1発アウトの小さな穴。
だが、ちゃんとした“道”だ。
ギルドの整備された火山洞の道は確かに快適だ。
だが、人の手が入った場所に来る魔物は、やはり少ない。
だからこそ、火山洞の奥はこう言う自然の作り出した道が多く、魔物も多く生息している。
故に、奥にはダイヤモンドランク以上の冒険者しか踏み入れられない。
そこはクリアしてるのでいいがな。
「装備の調子はどうだ?冷却機能は働いてるか?」
「はい、全然大丈夫です!」
この洞窟の周りにもマグマが流れていると考えると、温度はざっと200度にはなるんじゃないか?
そう考えると、本当にこの世界の装備もすごいし、何よりこう言うところに住む生き物もすごいな……
「装備の機能が失われたらと思うとゾッとする……」
「何か言いましたー?」
「いや、なんでもない」
小さな穴を抜けると__
「おお、すごい」
「まるでマグマの滝ですね」
周りは上から下に落ちていくマグマ。
下いっぱいに広がるのは深いマグマの湖。
幸いにも足場となるマグマの塊もそこら辺にあるので泳がなくては済みそうだ。
それよりも__
「居るな__」
「はい」
そっと武器を構えた。
先ほどとは比べ物にならないくらいの危険信号を身体が察知している。
「……」
相手は俺たちが来たことに気付いてるな……
「攻撃してこないのも面倒だ……アカネ、気付いたらすぐに言ってくれ」
「はい」
「……」
「……」
俺の弱点と言えば弱点。
“擬態”
色がわからない俺にとって、これが一番厄介だ。
相手も命をかけて潜んでるので早々に発見できるものでもない。
「……」
「リュウトさん!上!」
「!」
上という情報だけでどういう攻撃か分からないが、見るより先に身体が反応してレイピアで“鎌のような物”を防ぎ、そのまま飛ばされる。
「__カマキリか!」
飛ばされながら体勢を整え姿を確認した。
その姿は壁に擬態したトラックほどの大きさの巨大なカマキリ。
確か名前は__
「【スラッシュゴルドラ】」
「てやー!」
また擬態される前にアカネが仕掛けた!
巨大ハンマーが横腹を捉える。
ゴルドラが吹き飛ぶ。
……だが、効いているのか分からない。
「虫の感情を読み取るのは難しいな」
だがアカネの一撃はターゲットを変更するのに十分だった。
ゴルドラはアカネに近寄り自慢の鎌で攻撃を始める。
「ふっ!はっ!」
避けるのに専念するために自分のハンマーを片手サイズのトンカチにまで小さくして避けていくアカネ。 上手くハンマーを引っ掛けてアクロバティックに避けている。
「そこだ!」
アカネに気を取られている間にレイピアを急所に向かって投げたが危機察知されたのか振り向きもせず弾かれた!
「……よし、無理だ」
本気で投げたレイピアが弾かれた。
つまり単純に考えると力は俺よりも上__
「図鑑で見て薄々感じていたが、元の世界の虫が巨大化したと考えれば、そこら辺の魔物より全能力が上」
初めての大型の虫の魔物。
ここは慎重に行ったほうがいいだろう__
何より、足場も悪いし環境も悪い……一旦ここは逃げる!
最悪の場合はミクラルに戻って、みやを引き連れて再戦だ。
「アカネ!ここは退きゃ__」
“退却”と言う瞬間、俺の隣から猛スピードで“白い塊”が通り過ぎていった!
「__アールラビッツ!?」
その正体は少し前に気絶させた大きな白うさぎ。
「むきゅ!」
アールラビッツはスラッシュゴルドラの細い足を蹴り飛ばし体勢を崩させる。
「あなたは!」
「きゅ!」
状況が変わりアカネはコチラを見て、どうすればいいか訴えかけてきた。
________作戦変更だ!
「アカネ!そのアールラビッツと一緒に時間を稼げ!ヘイトをとっていろ!」
「了解!」
未知の敵。
応援に来た“異様に強いアールラビッツ”
そして、先程の殺さなかった違和感!
__間違いない。これは――
「あのアールラビッツは仲間になるテンプレ!」
そうと決まれば俺はここで引くわけには行かない!
「しかし、どうしたら良い……」
このパターンは相手を蹂躙して強さを見せつけるのが定番だが……うーん、無理だ。
肝心な武器召喚も出る気がしない……
「それなら__」
俺は戦線離脱し隠れ、転送魔皮紙を広げて様々な素材を取り寄せる。
「足の大きさは__」
頼む耐えてくれ!
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