暗闇の白き捕食者
「わぁ!すごい!溶岩ですよ!溶岩!」
「いや、俺からしたら躊躇なく触りに行ったお前がすごいよ」
「?、装備つけてるじゃないですか?」
「そうだが……」
装備をつけてるからと言って泥を触るように溶岩は触れません!
「見てください!【グブヌグアラ】ですよ!」
「マグマを泳ぐ魚……まぁ元の世界でも適応してる生命がいないだけだから、これは有りか」
「…………そんな淡々と説明しながら泳いでるグブヌグアラを的確にレイピアで捉えてるリュウトさんの方がすごいと思いますが……」
ここはミクラルヴォルケーノの火山洞。
鍾乳洞の火山版と捉えてもらったらいいだろう。
ただし、ギルドの手が加えられていて道やエリアは出来ている。
富士山みたいなもんだ。
「こいつの素材は今後必要になるからな」
「何に使うんですか?」
「まぁ気にするな」
「んにゃ……」
「さて、と、本来ならここがさっき倒したヴォルクパルピーヤの住処があるはずだが」
あの魔法の大型犬の群れは潜み、獲物を見極めて襲う。
なので住処から見える監視穴があるはずだ__
「あった」
監視穴は天井。
この洞窟の上に空洞を作り、そこで狩れる獲物を見てるのだろう。
「ま、後は出入り口を見つけるだけだが、この際いいか……アカネ」
「はい、何でしょう?」
「天井に穴を開けてくれ」
「分かりました!」
アカネは言われた通りにその場からジャンプしてハンマーで大きな穴を開けた。
「よっと」
当然ながら中は暗い。
「【光げ__っ!?」
周りを照らす魔法を出そうとした時に感じた殺意!
勇者の身体が反応し手をクロスさせた瞬間に吹き飛ばされる。
「くっ!」
背中の感覚からして、上下逆さまで岩壁に叩きつけられたらしい。
暗闇の中なので重力を頼りに立とうとしたがその前にまた吹き飛ばされた。
「頭がいいじゃないか」
真っ暗闇。
もう一度、壁に叩きつけられる。
しかも、威力的には並大抵の装備なら砕けている威力。
普通の魔物なら何が何かわからない状態で死ぬだろう。
それにこれなら目を使う魔物で格上の相手でも勝率は上がる。
「……」
岩の壁にめり込み張り付け状態になった所を追撃してきた。
「ただ、今回は相手が悪かったな」
「【光源】!です!」
アカネが魔皮紙で光を照らした瞬間、俺は追撃を避けモフモフの白い毛を掴み力任せに地面に叩きつけた!
「うおりゃ!」
「__きゅぅ……」
当たりどころが悪かったのか脳震盪を起こした“白い大きなウサギ”は仰向けで気絶した。
「【アールラビッツ】ですね!初めて見ました」
「あぁ、ミクラルヴォルケーノや温度が高い所を好んで住む魔物だな」
【アールラビッツ】
牛くらい大きな真っ白なウサギ。
元の世界と違って白い毛は冷たくなる性質を持っている。
「ヴォルクパルピーヤを住処から追い出したのはこの魔物でしょうか?」
「あぁ……だが、目的の魔物ではなさそうだ」
「?、どうしてでしょう?」
「この魔物は暑い場所を好んで住む。だから火山の奥の奥に生息している珍しい魔物だ、それがこんな外に近い場所……こいつらに取って暑くない場所にいると言うことは__」
「この子も住処を追いやられた、ですか?」
「そう言うこと、芋づる式に目的の魔物まで近付いてってるな」
「はい!そういや、この魔物どうします?解体しますか?」
そう言ってアカネは解体の準備を始めたが……
うーん、ウサギかぁ……
「どうしました?」
「いや、コイツはそのままにしておこう、なんと言うか気が引ける」
「分かりました」
ちなみに、アカネも魔物に対して「可愛い」などの感情はあっても解体や殺すことに関しては「それはそれこれはこれ」と割り切るタイプだ。
俺もそのタイプなのだが……珍しく罪悪感を感じるので殺すのはやめといた。
「さて、と、まぁこうなる事は分かってた」
たぶん、火山洞の奥深くに行くんだろうなテンプレ的にと思って用意しておいた道具一式を転送して装備し奥へと向かった。




