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テンプレ勇者の一目惚れラブロード  作者: しぇいく


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やっぱり繋がっていた!

 「うにゃぅ……」


 【光源】の魔法が光るテントの中で目を覚ました。


 「おぉ、起きたか」


 「はい……」


 ずっと起きるのを待っててくれたのか、私の隣にはご主人様が座っていて湯気の立つスープを差し出された。


 「……」


 こんな私が優しくされていいのか……でも、断るとご主人は嫌そうな顔をするので、スープを何も言わずにもらう。


 「色々な情報が一気に来て、ショートしたんだな。落ち着くといい」


 「みやさんは……?」


 「アイツは外。魔物が来ないか見張ってる」


 「……」


 「……」


 スープを啜る。

 優しい味……美味しい……心が温まるようだ。


 「あの、強制的に起こさなくて良かったんですか?」


 奴隷刻印には気絶した時に強制的に意識を起こす魔法も備えている。


 「普通__」


 “普通はそうやって起こすもの”


 そう言おうとして言葉を飲み込んだ。

 なぜなら__


 「うん、そうだよ、俺達は普通じゃない」


 「……」


 そう。

 この人達は普通じゃないんだ。


 「お前は“普通”の奴隷を出来てるか?」


 そう言われて思い出すのは“あの言葉”


 __奴隷はご主人様の手となり足になる……ではない。

 ご主人様の“物”になるのだ。


 そんな奴隷になりなさい。



 __それを聞いて育ってきた。


 そして、奴隷商でも“物”の様に扱われてきた。


 それが私のあるべき姿。

 目指す姿。


 物としての自覚を持ちながらも私は密かに“優しいご主人様に飼われる”という夢を持っていた。



 それが……中途半端だったのだろう……





 私は奴隷オークションで夢は夢のままだと痛感した。


 




 客の見る目は“品定め”


 誰も彼もが奴隷達を見る目は全て“物を見る目”




 そして私は売れ残った……物としての価値もないクズ。

 ゴミ……


 聞こえてきた奴隷商の人の声__「ミンチにして家畜の餌にでもするか」


 っ__


 何気ない一言。

 だからこそ理解できる。

 この人達は本気だ!

 この人達は商品になる前の奴隷を何人も何人も殺してきてるのは目の前で見てきた!

 それを見て“自分は殺されないから安心だ”と思って居た!


 だけど今!私は中途半端で物としての価値すら生み出せなかった!ゴミの対象!殺されて捨てられる!



 死ぬ……いや!嫌だ!


 

 そんな時に来たのが、このご主人様。


 男のお客様で良かった。

 まだ私は女の玩具としてのチャンスがある!


 私は頑張って自分を“物”として見てくれるように懇願した。

 もう自分は中途半端じゃない。

 完全な道具だと。



 そして買われた!



 そう!これが答えだった!私は物__ご主人様の“道具”

 


 それが私の“普通”


 なのに……なのに……


 「う、うぅ……」


 涙が出て来る。


 「ご、ご主人が……や、優しいから……普通が、わ、わかりません」


 声も上手く出せない。


 物として扱ってもらわないと私は中途半端で捨てられる。


 でもこの人はそれを拒否する。

 “物”としての私を使ってくれない。


 会って間もないのに優しくしてくれる。


 その優しさが私を混乱させる。


 「それでいい、普通っていうのは答えがないんだ」


 「ぇ……」

 

 「普通って言うのはな……“大多数の人が共通している認識”というだけだ、みんなが同じ事をしていたらそれが“普通”として認知される……だから答えなんてないんだ」


 「答えが……ない……」


 その宣告は私をますます混乱させる。


 「私は……どうすれば……」


 「そうだな、お前はその答えを探すといい」


 「でもさっき答えはないって……」


 「あぁ、だけど“答えを探すことは出来る”だろ?何事にも結果があるが、それに伴って“過程”もあるんだ……“普通の奴隷”の答えをゆっくり探していくといいさ」


 普通の奴隷の答え……


 「……」


 「ま、今はしっくり来なくても一歩ずつ近づいていけばいいさ、俺だって一歩ずつ進んでるけど、あの人の結ばれる“答え”なのかは解らないしな」


 「あの人?」

 

 「あぁ、話てなかったな……俺は、とある人物をずっとずっとずーっと探してるんだ」


 それは誰ですか?――そう言いかけたが、言葉に詰まる。

 私が知っているはずがない。だが、次の言葉を聞いた瞬間、ある顔が思い浮かんだ。


 「その人は、美しくて、可愛くて、可憐で、綺麗な金髪で美しくて――吸い込まれそうな宝石のような青い目で、スタイルめちゃくちゃ良くて、めっちゃ美しい人なんだ」


 「……妹ちゃん?」


 その一言で、ご主人様の顔が弾ける。

 それまでの冷静さが嘘のように、勢いよく詰め寄ってきた。


 「やっぱり知ってたか! やっぱり! 今すぐ教えてくれ! あの人のことを! アオイさんのことを!!」


 「へ? あ、へぁい、でも、そのアオイさんって人って確定したわけじゃないですが__」


 「その人、この世ならざるくらい美しかったろ?」


 「はい」


 「金髪だろ?」


 「は、はい」


 「青目だろ!?」


 「ふぇぇ……」


 鼻息荒い熱弁に、少し圧倒されながらも頷く。


 「あ! そうだ!」


 勢いそのままに転送魔皮紙から一枚の写真を取り出した。


 「この人だろ!?」


 その写真は間違いなく“妹ちゃん!”


 「そうです! この人です!」


 「キターーーーーー!!!」


 叫んだかと思えば、ご主人様は喜びの舞を始める。

 それはもう、威厳も何もない勢いだった。


 「ふふっ……」


 つい笑ってしまった。心が、少しだけ軽くなる。


 「あ、いや、えと……へへ」


 顔を赤らめ、そっぽを向いて、もじもじとするご主人様。

 怖いイメージは、もう完璧にどこかへ吹き飛んでいた。


 「変なご主人様です……ふふっ」


 「アオイさんの事では俺は変になってしまうからな!……てか“妹ちゃん”って?」


 「あぁ、それはですね__」




 私はそれから妹ちゃん__奴隷No.35の事を話した。


 

 

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