来た?キタキタキタ!!ついにアオイさんを発見!!!
《ジャックスタウン》
――ここは、大富豪たちが集まる街。
同じ大都市でも、冒険者や商人の拠点であるクイーンズタウンとは性質が異なり、
依頼者、つまり“ギルドに依頼を出す側”の人間が多く集まっている。
だがそれだけに、グレーな案件も多い。
貴族や有力者のネットワークが張り巡らされたこの街では、騎士たちも手出ししにくい。
そんな場所で、今夜――奴隷オークションが行われるという情報を、俺はかなり前から掴んでいた。
元々は、“テンプレ通りの異世界”を追うための調査だった。
「……クリスタルドラゴン討伐に、アオイさんは来なかった」
異世界召喚テンプレにおいて、欠かせない要素のひとつ――奴隷。
俺も、そしてアオイさんも勇者だ。
この街に“来る可能性”は、決して低くない。
現在、俺はアオイさんを“勇者として異世界に召喚された存在”と仮定し、
テンプレート通りのルートを一つずつ潰しているところだった。
・サバイバルルート
→ エリュゼの森に痕跡なし。あれだけ探しても何も出なかった。除外。
・最強冒険者ルート
→ これは俺が通ったルート。だが、アオイさんに関する噂は一切ない。除外。
・魔法学校ルート
→ 入学記録を調査済み。該当なし。除外。
「……探偵って、こんな感じなんだろうな」
異世界テンプレートを、地道にひとつずつ潰していく日々。
そして今日、ようやく――“奴隷ルート”を潰す日が来た。
「いらっしゃいませ。どんな奴隷をお求めで?」
艶のない声で出迎えたのは、初老の男。
分厚い帳簿を抱え、客人を“品定めする目”で俺を見てくる。
「……あいにく目玉商品は、少し前に売れてしまいましたが。売れ残りでよろしければ、ご案内いたしますよ」
「いや、自分で見て決めたい。気にしないでくれ」
淡々と返しつつ、周囲の様子に意識を巡らせる。
笑い声の混じる廊下、奥から微かに聞こえる鎖の音。
「そうですか。残りの奴隷は奥の部屋におりますので、ごゆっくり」
「ありがとう、こういう場所は初めてだから、新鮮だな」
軽く返しつつ、さりげなく視線を巡らせた。
客たちは品定めに夢中で、誰もこちらを気にしていない。
目玉商品と言っていたが、それが終わったので人も少なくなってきて祭りの後だった。
その隙に、小声で尋ねる。
「みや、どうだ?」
みやは魔眼をこっそり発動させ隅々まで見てくれる。
もちろん、探しているのはアオイさん。
これだけ人が居る中でも、みやの魔眼は対象を見つけ出す……のだが……
「ぅーん……もう、ここには居ないみたぃっ、せっかく尻尾を掴めると思ったのになぁ〜」
「そうか……」
アオイさんが居なかった……つまり、もう先に来ていて奴隷を買った後なのだ……
予想するに先ほど言われていた“目玉商品の奴隷”を買ったのがアオイさんなんだろう……
あーーーー!くそう!アオイさんにまた会えなかった!!
いつ会えるんだ!!!
気落ちしかけたその時――
「……おっ!? これ、唐揚げじゃん!」
「からぁげ?」
「えーっと、これは俺の故郷の《唐揚げ》っていう料理でな……」
この世界は基本的に《揚げる》という調理法が無い。
確かに考えれば元々“焼く”“煮る”よりその調理法は特殊なので何となく理解できるが……
自分で作ろうと思わなかったな、そういや……
「へぇ〜。あむっ……おいしぃ♪ お肉は、ベルドリだねっ!」
「だろ?ベルドリの唐揚げか!どこに行っても唐揚げなんて無かったから一体どんな奴がつくっ____うぇえええええええ!?!?!?!?」
【料理名・唐揚げ】
【調理者・奴隷No.35】
そのパネルの写真は____アオイさん。




