武器!
「おお……」
店に入った瞬間、思わず声が漏れた。
壁一面にずらりと並ぶ武器、武器、武器。
剣に斧に槍に棍棒。
刃のついた鎖や、見たことのない形の異国風の刃物まで――。
(日本では絶対見ることない光景だな)
ここはクインズタウンの武器街の中でも、とくに名高い名門店、と、聞いている。
「らっしゃい!」
店の奥から現れたのは、筋骨隆々の中年男性。
腕も胴体もゴツく、顔には古傷。
これまたテンプレな“武器屋の親父”だな、テンプレテンプレ、ありがたやありがたや
「武器を見に来たんですけど、自分に合ったものを見つけたいんです」
「おっ、気に入ったもんがあるまでいくらでも付き合うぜ。あっちに試し斬り部屋があるから、じっくり試してけ」
促されて店の奥の扉を開けると、広い空間に魔皮紙を巻いた試し斬り用の人形が三体並んでいた。
一体は四足歩行の動物型。
一体は魚型。
そして、もう一体は__
「でかいな……」
元の世界では見ない骨格。
大きな恐竜の様な型だ。
「さて、どうしようか……」
元の世界で狩猟経験などない……そもそも銃はあるのか?いや、さっきの部屋をパッと見た感じなかったな……
「さて、坊主。最初は何を試す?」
かと言って後ろから魔法を撃ってるだけなんて主人公感が薄れる……王道の主人公で考えると__
「そうですね。まずは一番大きな剣をお願いできますか?」
大きければ見栄えもいいし、無難なところか。
「おう、て、その前に予算はどれくらいだ?それに見合ったものになるが」
「無限です」
そう言ってギルドカードを出す。
「……ほう?」
親父がじっとギルドカードと俺の服を見つめる。
「なるほど、特別って事か」
「今後、親父さんの店を優遇するから他の人には内緒にしてくれ」
「んじゃ、お得意様にこの店で一番デカくていい奴、紹介しねーとな!」
数分後。
親父がゴトン、と床に置いたのは、折り畳まれた巨大な剣。
柄には魔皮紙が巻かれていて、魔力を通す構造らしい。
手に取り、魔力を流してみると――ガキン、と金属音を立てて変形。
全長3メートル、幅2メートルの三日月型の超巨大剣へと展開された。
「軽いな」
そして、見た目に反して、恐ろしく軽い。
デカい木刀を持っているみたいだ。
「よし__」
そのまま四足歩行の人形に向かって、一閃。
刃が触れた瞬間、ドォンと重低音が響き、対象は真っ二つに裂けた。
「……ふーん」
そのまま俺はデカい剣を折り畳む。
「もういいのか?」
「はい、他のにします」
魔力を通すと人形が元通りに戻る。
「何か悪かったのか?」
「いや、威力は抜群ですし、斬り心地も驚くほど自然。まるで料理の包丁のようでした」
「ならいいだろう?」
「ただ、大きすぎてパーティーメンバーと一緒に前衛する時に邪魔になる可能性があるなって」
いくら軽いとは言ってもこの大きさは取り回しが制限されてしまって扱いづらいな……
ま、1番大きいのを持ってこいと言ったのは俺なんだが。
「今はまだパーティーメンバーがいませんが、もっと納得の行く武器があると思うんです」
親父はふっと目を細め、にやりと笑った。
「良いだろう、最後まで付き合ってやる」
「ありがとうございます! じゃあ次は片手剣を!」
そこから先は、本当に時間を忘れるほどの武器選び。
剣、短剣、細剣、曲剣――いろんな武器を試した。
そして、ある一本に触れたとき――それは、手に“すっと”なじんだ。
軽く、鋭く、速い。
魔力の通りもスムーズで、力の流れが乱れない。
細く、突きに特化した、優雅な形状の剣。
「……レイピア、か」
見た目も悪くない。
主人公が使ってても違和感がない。
それに、何より弱点をつく事に特化しているのが気に入った!
どんな大きな相手でも関係ない!
取り回しも完璧!
俺の武器は、これに決めた!
待っていろよ異世界生活……すぐに彼女の元へ行ってみせる!




