完璧な勝利
あの巨体からしたら小さな攻撃だ。
だが、それを出したのは勇者である俺!
不意を突くには充分な威力で片翼を失いバランスが取れなくなったクリスタルドラゴンは墜落した。
「さぁ、バッドエンドは見飽きたんだよ。ハッピーエンドと行こうぜ!」
予想通り、クリスタルドラゴンの再生が始まる。
コアを潰さないと再生するのはテンプレ中のテンプレだよな。
再構成されていく鱗が、まるで時間を巻き戻しているかのように復元されていく。
それをただ見てるほどアホではない!
「みや! 今のうちに飛べなくしろ!」
「わかったよぉっ!」
みやが両手を広げた。
次の瞬間、彼女の足元に風の紋様が展開される。
「【風斬】っ!!」
みやの周囲の風が圧縮され、一条の刃となってクリスタルドラゴンの翼へ向かって放たれる。
音が追いつく前に、風の斬撃がドラゴンの片翼を切り裂いた。
「ーーーーーー!!!???!」
「これでもうこいつは飛べない、俺のレイピアはっ……と、ここにあったか」
地面に刺さってるレイピアを持ち構え直した。
「みや、弱点は?」
「ちょっと待ってねっ」
そう言うと、みやはぴたりと動きを止めた。
その瞳に淡く赤い紋章が浮かび上がる。
不気味なまでに静かに、だが確かに――彼女の眼が“弱点の場所”を映し出す。
「……かんりょぅ♪」
にぱっと笑って、彼女は指をぴんと立てて告げる。
「コアは頭の、眉間のちょっと奥のとこにあるよ〜。かなり大きぃけど、壊すの手伝ぅっ?」
「手伝いなんていらない――【武器召喚】でトドメを刺す!」
俺は頭に出てきた魔法の言葉を言った。
【武器召喚】__神の武器を召喚して使えるというこの世界での最大最強の魔法。
発動条件、魔力量、武器の素材、全てが謎に包まれている神級魔法。
なるほど、これは解らないわけだ……俺だって今、なぜその魔法を使えると思ったのか解らなかったのだから__
「【武器召喚】!!」
唱えると大地に金色の魔法陣が展開される。
光は瞬時に広がり、周囲を巻き込むように轟音と衝撃波が走った。
そして――出現したのは、高さ二メートルを超える、黄金のランス。
その刃はまばゆいほどに輝き、柄には左右対称の精緻な文様。
まるで“神が造った武器そのもの”としか言いようのない荘厳さだった。
「――よし、これで終わらせる!」
ランスを握り、地を蹴る。
空へと高く舞い上がる!
「これで終わりだぁぁあああああ!!!!」
黄金のランスを空から投擲。
手から放たれたそのランスは、空中で輝く流れ星のように軌跡を刻みながら、その後方には巨大な竜巻が生まれ、その旋風が空を裂いた。
「ーーーーーーーー!!!!!!!」
ランスがクリスタルドラゴンの頭を貫き、その瞬間に爆発が起こり、まるで神々が地球を揺さぶるかのような衝撃が広大な地域に広がり、木々や岩が吹き飛ばされ、大地が震え__
____そして、最後は上半身が無くなったクリスタルドラゴンの死体が無様に転がっていた。
「っと、初めて出してみたけど、うまく行くもんだな」
気がつけば黄金のランスは役目を終えた様に消えていた。
______あれ?
アオイさんは?




