着いたけどイライラ!
「ぜぇ……はぁ……」
全力疾走でおよそ19時間。
流石にチート級の体力を持つこの身体も、うなりをあげていた。
「着い……た」
なんとかクインズダウンのギルドまで到着。
その前でみやを降ろして膝をついていた。
「ぉ……ぉつかれ」
「お前、少し前から、起きてたろ……」
「ご、ごめんっ、おしっこ見られてはずかしかったっ……」
「まぁ……いい……それより、状況の……くそっ……頭が回らない」
とにかく息を整えろ。
「ふぅ……はぁ……はぁ……よし!」
「ぉちついたっ?」
「あぁ……とりあえずギルドに行き手続き、その間にお前に状況を説明するし聞きたいこともある」
「ぅんっ」
そういってギルドの中に入ると__
「うお、まじかよ」
そこには長蛇の列。
みんなリュウトと同じ理由だろう。
「お!リュウト来たな!だけど遅かったな!」
「やっぱり、みんなクリスタルドラゴン討伐か?」
「もちろん!子供の絵本にでも出てくる伝説の魔物!死ぬ前に一度は見たい!って気持ちもあるが何より報酬さ!」
「報酬?」
「あぁ!なんと報酬は2億!それを分配するんじゃないぞ?活躍したパーティー全員に振り込まれる!」
と言う彼はプラチナ冒険者。
活躍?とは?と思うが……
「その目、プラチナ冒険者で活躍なんかって思ってるだろ」
「ソンナコトナイ」
「プラチナ冒険者はダイヤモンド以上の冒険者と一緒に行動することになってるんだよ、しかも活躍は持ってるギルドカードが勝手に判断してくれるから漏れることは無いってやつだ、ゴールド以下の冒険者も荷物運びとか拠点の設置とかだけど、国全体の冒険者が動くんだ、人が余ることはない!」
「それでこの長蛇か……」
「わりーなリュウト、列は譲れない……だが?もしも俺をお前に着いて行かせてくれるなら話は別だぜ?」
「いや、やめておくよ、俺がお前を守れなくて殺してしまったらお前のあの鬼嫁になんて言われるか分からないからな」
「確かに!ガッハッハ」
とりあえずそんな話をして列を外れ、カウンター席の隅に座る。
ここはギルド長の部屋からちょうど見える位置。
いつもなら俺がここに座ったのを見てギルド長が何か用かと出てくるのだが__
「…………」
「…………」
遠くで目が合って「無理!」と雰囲気を出された。
くそ!
いや、まぁ無理だろうな。
俺が勇者であることは秘密。
つまりみんなには“めちゃくちゃ強い冒険者”にしか見えてない。
これがダイヤモンドを超えてルビー、サファイアレベルになるとまた違うんだろうが、正直言ってダイヤモンドレベルの冒険者はまぁまぁ居る。
となると、ギルド長からも特別待遇は出来ないのだろう……しかも、俺がギルドに入った時から周りからの視線は感じる。
俺の行動は見られてるのでコソコソと裏に行くのも無理そうだ……
くそ!今こうしてる間にもクリスタルドラゴン討伐は始まってるというのに!」
聞くところによると、グリード城の騎士達も到着して現地にいるらしい。
くそくそくそくそくそ!!!!
いっその事、コイツら全員ぶっ飛ばしてやろうか……
「ぐぬぬぬ……ぐぬぬぬぬぬぬぬ」
「リュウトっ……」
みやは悩み頭を抱えてるリュウトを心配そうに見る。
「…………」
そしてその2人に声をかける冒険者が1人。
「悩んでるみたいだね、銀騎士さんよ」
「あなたは」
そこにはかつて新人時代のリュウトを誘った屈強な女冒険者パーティーの面々がいた。
「どうせアンタの事だ、早く行きたいのにって奴だろ?」
「ま、まぁ」
「私ら、もういつでも行けるんだよな」
「!」
「それに、お前と長い付き合いだからわかる……金じゃないんだろ?目的は」
「そう……そうなんです!」
リュウトは全て察した。
さっきは列を交代するだけだがこの人達はもう手続きを済ませてるのだ……そして何より____
「あの時と同じ状況だな」
そう、気がつけば俺はあの時と同じ所に座っていたのだ、初めて冒険者パーティーを組んだ、ジャログドラゴンを倒しに行った______あのテンプレ行動の時と!
「…………」
俺は一呼吸おいて____
「____今からでも構わない」
あの日と同じセリフを言った。




