唯一の手掛かり
「ご苦労でしたわ、リュウトさん。あなたの選択、しっかりと見届けましたわ」
霧が晴れるとそこは召喚された部屋だった。
周りには誰も居らず、サクラ女王だけ目の前に立っている。
「率直に言いましょう……「失格」です」
「……」
「他にも方法があったでしょう?なぜあの様な行動を?」
「あれが、俺だからです」
「……」
「あの場で“騎士らしく”する事はできました、それに【勇者】という肩書きもあり、正義の味方を想像していたのかもしれません」
「そうですね、少なくとも試練を見ていた各隊長達はそう思ってましたよ」
「やはり、見ていたんですね」
「もちろんです、勇者が試練を受けると聞いて代表騎士以外は全員参列してましたよ、お伝えした方が良かったですか?」
「いえ、だとしても結果は変わりません」
「そうですか……」
「ですが、後悔はありません、アオイさんの情報は他で探します……忙しい中、お時間をいただき__」
「まだ話は終わってませんよ、グリード城はただで出れないのは知ってますよね?」
「……」
そう。
グリード城は情報漏洩を防ぐ為に特別な事以外は外には出れない。
一生ここで過ごすかそれとも、記憶を消されるか、だ。
「記憶を消してください」
「いえ、その必要はありませんわよ」
「?」
「失格……と言いましたが、騎士としての最低ラインは合格です」
「え?えと、どういう意味ですか?あんな非情な行動を騎士がすると?」
正直、テンプレートを外れた行動をしたので自信は持てなかった。
次のプランを考えながら返事をしていたので虚をつかれた感じだ。
「はい__【騎士】は正義のヒーローや御伽話のヒーローではありません……主君の為に動く、ただの人間なのです」
「……」
確かにそうだ。
俺とした事が……アオイさんの幻を前にして考えてなかった。
元の世界のイメージで騎士というのがそういう者だと思いすぎて無意識に美化していたという事か……
「ですが、それに重きを置いたとしても、あの行動は失格でしょう……アオイさんがアレを見て喜ぶとでも?」
「……はい」
うぐ、女王様には先ほどから図星を突かれまくりだ。
思えば、みやとのデートの時から俺は相手のことを考えてなかったな……
「半人前の騎士、という事で今回はお咎めなし……そして、少しでいいのでアオイちゃんが見つかるまでは私の騎士になってくれませんか?」
「しかし、俺は__」
「安心してください、戦争などで勇者を使うつもりはありません、あなたの自由を奪うつもりもありませんから」
「分かりました、それなら喜んで受け入れます」
「決まりですね、これで貴方は半騎士なのでここから出る時に記憶を消す必要もありませんし、私が呼ぶ時以外はここに来る事は許されません」
要は“頼み事がある時に呼ぶから自分から来るな”と言うことか。
「了解しました」
「では、約束通り。試練の終えたあなたの質問にお答えしますわ」
女王は静かに息を整えた。
「私たちが調べたところ、アオイさんは城を出た直後、“人攫いに襲われた形跡”がございます。それ以上の情報は……残念ながら、得られていませんの」
「……そう、ですか」
やはりアオイさんはトラブルに巻き込まれていた。
しかし、同時に安心感が出てくる……人攫いに襲われたと言う事は少なくとも殺されてはいない可能性が高い。
ん?まて?人攫い……!!!!!????
「そうですか!」
「???、どうしました?」
「いえ!感謝します!」
それこそ人攫い関連は最近出た話題だ!こうしちゃいられない!早くみやと話さないと!
「此方こそ?こんな情報だけで申し訳ありません」
「そんなことはありません、これでまた一歩!あの人に近づけました!」
「…………」
女王はポカーンと口を開けた後に言う。
「あなた……もしかして__」
あぁ!言いたい事は解る!そして俺は止められないこの思い!
「はい!好きになりました!」
「あらあら、フフッ」
それを聞いて女王は微笑むのだった。




