情報げっと♪
「……」
爺さんの暗い夜の森を歩く足取りは重い。
壺の中の赤子が物理的に重いのではなく、蛇にずっと睨ませているようなプレッシャーが重いのだ。
「ふふっリュウトにほぅこくしたらどぅおもうだろっ」
実際に遠くから見張られている。
街のはずれにあった古屋からさらに奥へ行き、街の【結界】から出るとすぐに女が出てきた。
「あらぁ、誰が連絡くれたかと思ったら……久しいねぇ爺さん」
女は見るからに悪人で、ねっとりとした口調で話し続ける。
「伝えて無かったかねぇ?最近、こっちは儲けてねぇ、しばらくこう言う危険な事は避けたいんだけどねぇ?」
「しかし、全ての奴隷をグリードの王に買われて品薄のはずじゃろ?」
「そういう見方もあるねぇ」
「今回はこれじゃ」
壺の中の赤子を見せる。
「あらぁ、カワイー」
「どうじゃ?」
「却下」
「ぬ!?」
「ただでさえコストのかかる赤子からの奴隷だ、買う理由がないねぇ」
「しかし其方は!__っ!」
ヒュッと風を斬った音がすると爺さんの頬から血が垂れる。
「わからないかねぇ?こっちはしばらく休暇するって言ってるんだ」
「ぐぬぅ……」
「その交渉、よく考ぇたほぅがぃぃかもよっ?」
「!?」
「ぉっとっと」
悪党の女は有無を言わさずに攻撃を仕掛けたがみやは見切り2本の指の間でナイフを受け止めた。
「爺さん!つけられてたのかねぇ!」
「い、いやこれは!」
「ぁんしんして、わたしはお客さんだょっ」
「信じれないねぇ」
「ほ、ほんとうじゃ!わしが連れてきた!闇で奴隷を買いたいと言っていた!」
爺さんは慌てて2人の間に割って入り止める。
「こ、この娘は本当に金を持っておる、それに悪人じゃ!人を殺すのにためらいもない!目の前で取引に来た男が殺されたのを見た!」
大蛇になることを言わないのは良い判断だった。
言っていればこの場の全員殺されていただろう。
「…………」
「…………」
そして言ってることは全てあっているのでみやも訂正をしない。
「…………取引を考えた方がいいとは?」
女は警戒を解かずに質問をする。
「その赤子、この国の“代表騎士”の娘だょっ」
「な!?」
「なんじゃと!?」
「何で爺さんまでびびってるんだい!」
「す、すまん」
代表騎士。
この世界の人間の3カ国。
《グリード》《ミクラル》《アバレー》この3つの国にはそれぞれ1人ずつ王直属の騎士が居る。
みやは魔眼を通して赤子が何者かを気付いていた。
「証拠は?」
「証拠は無ぃけど、情報はぁるっ……アバレー王国の《熊さん組》に行って「マルセッター」ってぃえば良ぃ取引になると思ぅょっ」
「聞こえなかったかねぇ?証拠だよ?」
「《女神の翼》闇の奴隷商では有名な大型組織、移動拠点の為捕まえるのは難しい__だけど拠点としている場所はある」
「!?」
「その専属と言っていい人攫いがあなた達」
「っ!」
その瞬間、女は爺さんを殺した。
「……」
「……」
それを見て全く動じないみや。
「証拠は無ぃけどっ、情報はぁるっ」
同じ事を言っているが先ほどとは違い重みのある言葉になっていた……
本当の拠点がある事を知ってるのはかなり信頼している少人数しか知らないはず。
しかし、裏を返せば情報漏洩の足がつく……下手したら知っている奴全員殺しに来るかもしれないのだ。
「ちなみにっ__私はぉまぇくらぃじゃ殺せなぃよっ」
みやはそこで手を一振り。
すると周りの木々が一斉に“何かに斬られた”様に倒れ始めた。
「っ!!」
みやから放たれる殺気。
「化けの皮が剥がれたねぇ」
「ぉまぇごときに皮を剥がされる様なことは一生ない、黙って従え」
人攫いの女に冷や汗がたれる。
「……わかった、そこまでの人が何を私達に要求するんだい」
小さな少女は蛇のように笑顔を浮かべながら言った。
「ぉ友達になろっ♪」




