みぃつけた
誰もが寝静まる夜。
街のはずれにある古い古屋で屈強な男は大きな壺を持って入っていった。
「へへ、今日も仕入れてきましたぜ」
「ふむ」
壺の中には小さな赤子が一人入っていた。
その赤子を見定めるようにヒゲの爺さんは見る。
「どうだい?」
「良いだろう、交渉は成立だ」
「よっしゃ」
取引は数秒で終了、と言うのも、ここで時間をかけるわけにはいかない。
特にこの街では昼夜問わず冒険者がウロウロしており、それにプラスして騎士達もパトロールをしている。
今日も何事もなく終わるはず__だった。
「みぃつけたっ」
「「!?」」
どこからともなく聞こえる少女の声。
2人が戦闘態勢に入るのに迷いはなかった。
「だれだ!出てこい!」
その瞬間古屋の明かりが消える。
いや、明かりをつけているわけではない……月明かりが消えたのだ“まるで何か大きな物が覆い被さるように”
「っ」
暗い。
真っ黒だ、まるで洞窟の中。
「【光源】」
仕方なく男は光を灯した。
だがそれは絶望の光……みない方が良かっただろう……
「なんだこれは!?ひぃ!」
窓から見えるのは“白い蛇の鱗”
古屋を中心にとぐろを巻いた規格外の大きさの蛇。
その蛇は古屋の屋根を口でバキバキと取り除き、中を覗きこむ……まるで先程の赤子を見ていたお爺さんのように。
「な、なんなんだおま__」
そこまで言うと蛇は屈強な男を丸呑みにした。
「……」
爺さんの方も落ち着いているわけではなく、言葉が出ないだけで腰を抜かしている。
『お前が人攫いだな』
声が爺さんの頭の中に響く。
こくりと頷き肯定した。
『その赤子をどこへ連れていくつもりだ?』
「……」
裏の世界では冒険者と同じくらい危険が伴う。
その中をこんな年齢になるまで生きてきた爺さんだが、今、目の前の圧倒的な怪物に人生で初めて立っているだけで死を覚悟し、走馬灯がよぎる。
『早く答えろ、ぺっ』
吐き出されたのは先ほどの屈強な男の塊。
口の中に入った瞬間様々な毒で身体を変形させられ死んだのだ。
「ど、奴隷商に売る、ワシは仲介役じゃ」
『なるほど』
白大蛇はベキベキと木が折れるような音を立てながら1人の裸の少女に変身した。
「私もそこへ連れていってっ」




