アカネのあやまち!
私の話を聞いて、ひめちゃんは複雑な表情をする。
「その……なんて言ったら良いのか解らないけど……大変だったんだね……アカネちゃん」
「大丈夫ですよ、そんなに暗くならないでください、今は大切な人も出来て幸せです」
「その大切な人って特別な力を持ったリュウトさんって人だよね?」
もちろん、勇者の事を話も話している。
友達に隠し事をする方がいけないことですよね。
「はい!素晴らしい人です、今は子供みたいな立ち位置の“家族”ですけど」
「説明してる間に思ったんだけどさ、アカネちゃんって__そのリュウトって人に恋してるよね?」
__え?
「え?」
恋?
私が?
「いやいや!そんな事ありませんよ!そもそもリュウトさんにはアオイさんも居ますし、みやさんも__」
「そう?恋って自分でわかってなくてもしてる時ってあるんだよ〜?」
「へぇうぇ!?」
「もうっ、ゾッコンしすぎ!嫉妬しちゃう!」
「そ、そうなんですかね」
「フフフ、そうよ〜」
「え、へへ」
恋の云々はともかく、こうやって2人で笑いあえる……私は昔より性格も見た目も変わってるはずなのにすぐに受け入れてくれた。
友達って……いいな。
「それと、敬語じゃなくていいよ?私たち友達なんだし!」
「う……うん、わかり、……わかった!」
「うん!よろしい!」
敬語は奴隷時代の時に小さい頃から叩き込まれたのでこの切り替えは難しそうですね。
妹ちゃんの前なら自然に出来るのに……
「そうだ!そのリュウトさんの手続きが終わるまでこの国を案内するよ!」
「ほんと?ありがとう!」
元々リュウトさん達が来るまでいろいろな情報収集をしようとしてたので本当に助かります。
「でも、ごめんね?ちょっと今日はこの後用事があるんだよね」
「大丈夫ですよ、それならまた明日の朝、ここに集合でどうですか?」
「うん、そうしよ!ちなみにここの宿がオススメだよ、じゃぁまた明日ね!」
「はーい!」
そう言って私はヒメちゃんから地図の魔皮紙をもらい、手を振って見送りをした。
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森の入り口から少し離れた場所に、暗い森が静かに広がっていた。
木々は高く、冷たい影が地面を覆い尽くす。
風に揺れる葉音だけが響き、奥へ進むごとに闇は一層濃くなっていく。
不気味な静寂が広がる中、獣人の女性は呟くように声を出す。
「見つかっちゃったか」
その声と共に闇の中から黒いコウモリの獣人が3人出てくる。
「「「「…………」」」
そのまま3人は“姫”の前で膝をついた。
「“愛染の姫”様、困ります、勝手に城を出られては__」
「黙りなさい」
「…………」
「お母様は?」
「怒ってらっしゃります」
「……まぁいいわ、今回、国を揺るがす情報が手に入ったからそれを手土産に許してもらいましょう」
「国を揺るがす情報、ですか?」
「そうよ」
「その……御言葉ですが我々も常日頃から情報収集はしておりましてプロです、国を揺るがす様な情報ならばすぐに入るはず。それがまだ__」
「“勇者”が来る事はご存知で?」
「勇者?クリスタルドラゴンを討伐したと噂の勇者ですか?」
「えぇ」
「姫様、その勇者というのはクリスタルドラゴンの討伐に大きく貢献しただけと言う__」
「黙れ」
その瞬間、姫から放たれた魔法は一匹のコウモリの獣人の頭を吹き飛ばした。
「__っ」
「!?、姫様!何を!?」
「“御言葉ですが”の時点でブチ殺すのは確定してたのよ、元から否定から入る情報収集のプロが聞いて呆れるわね、どんな状況でもまず信じて調べる所がプロでしょう、次、口答えしたら種族ごと消すわよ」
「し、失礼しました」
動物とは簡単だ。
強いものが上に立ち、弱いものは従う、そして《愛染の姫》は圧倒的な前者であった。
「よろしい、ではお前達に早急にして欲しい事がある」
「な、何でしょうか?」
「“リュウト”という“勇者”の入国を阻止しろ」
良くも悪くも、テンプレなのか……
アカネの友達の“ヒメ”ちゃん。
彼女はこの国の“姫”であった。




