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家での語り

有紗と歩きながら話していると、あっという間に家の前に玄関に着いて居た。


俺は、有紗に手招きをした。


「入っていいよ」


「お邪魔します……」


 俺は、玄関に靴を並べている有紗に座ってるように言った。


「坂月さんそこに座っといて、飲み物出すから」


「手伝いましょうか?」


「大丈夫だよ」


 俺は、有紗からの手伝いを気持ちだけ受け取り、オレンジジュースコップに入れてテーブルの上に置いて有紗の隣に座った。


「坂月さんって今期アニメのクラかわ見てる?」


俺が早速その話をすると有紗は、目を輝かさて食いついた。


「勿論見てます! 内容が良くてストーリーの進み方が好きです」


「分かるよ! 各キャラ達の性格がちゃんと書かれてる所がまたいい!」


「分かります!」


 有紗は、しっぽを振る犬のようにニコニコしながら楽しんでいる。


「でも……やっぱり坂月さんアニメの話してる方が楽しそうだね」


「えっ?」


有紗は、不意をつかれたかのように目を見開いている。


「学校の坂月さんってアニメの話してる時より表情が強ばってるからさ」


「そう……ですか」


「でも俺は、どっちの坂月さんも、いいと思うよ」


有紗は、何か言いたげそうな表情をしながら口をあわあわと動かしていた。


「ほ、本当ですか?」


「うん。学校の坂月さんは、クールでかっこいいけど、アニメ見てる坂月さんは、表情が緩くて小動物みたいで可愛いよ」


突然そんな事を言われた有紗は、肩を震わせながら何か言いたげにこちらを見つめていた。


「どうした? 坂月さん」


「そ、その……真正面からそんなに可愛いなんて言われるのは、初めてなもんで……」


俺は、有紗に言われ自分が言ったセリフを振り返って羞恥に悶絶していた。


何を言ってるんだ俺は……アニメの主人公は平然と言ってるから気にしないで俺も言ったが……相手に言われると滅茶苦茶恥ずかしいじゃないか……。


悶絶して頭を抱えていると有紗の優しい声で――


「でも、心の籠った「可愛い」なんて初めて言われたので嬉しかったです」


「……それは良かった」


「でも……」


「どうした?」


「不意に「可愛い」なんて言われたら恥ずかしくて死んじゃいます……」


頬を少し赤らめて涙目でこちらを見ている有紗が俺の目を見ながら言った。


もう本当にこの銀髪美少女は……俺だって男なんだから勘違いするって……まだまともに会話して数日しか経っていないのに、どうしてこんなにもこの子は――。



先程の仲睦まじい出来事から十分程経って俺は、有紗を玄関で見送っていた。


「坂月さん、六時でもうくらいから家まで着いていこうか?」


「大丈夫ですよ。また月曜日学校で」


「うん、また月曜日」


 そう言って有紗は、帰って行った。


玄関が閉じた所で俺は、膝から崩れ落ちた。


今日1日目ずっと有紗と居て俺は、彼女の普段の表情を見れたからだ。学校ではクールな立ち振る舞いをしているが、プライベートやアニメの話になると、瞳を輝かせ表情を緩めてニマニマと話す。


あんな表情を見たら平気で居られる方がおかしい……。本当にこれは自分を褒めてもいいと思う。よく耐えと。

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