兄と妹。
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歌月陽奈、15歳。お母さんが再婚しました。
苗字が変わって葉月陽奈になります。
「広い」
いつ何回見ても、広い。
だってこの家、いっぱい部屋があるの。
「好きな部屋使えだってさ」
「え、あの、選べない」
主な部屋は(リビングとか。)一階にあって、各々の部屋は2階にあるらしい。
一つの部屋がとっても広いの。
「そんなに迷うなら、この部屋は?」
「どこ?」
お兄ちゃんの部屋を入って、お兄ちゃんが梯子を出す。
どうやら屋根裏にあるらしい。
「入口は狭いけど」
中はとっても広い。
「わぁ〜」
どうしよ。迷う。
散々迷った挙句、この部屋にした。
「お、お兄ちゃん」
くいくいっとお兄ちゃんの服のすそを引っ張る。
「何だ?」
「こ、この部屋がいいです」
「いいよ」
決まったら、持ってきた荷物を運び込む。
流石にベッドは明日運ばれてくる。明日の分のワンピースを出して、お母さんたちが帰ってきた。
「お母さん、お父さん、お帰りなさい!」
ぎゅっと抱きしめて、ほっぺにキス。
「俺にはないのか?」
「・・・・・・はぁ、仕方ないなぁ」」
仕方ない。同じことをした。
「ふふ、ありがとう」
「ただいま、はるちゃん」
「ただいま、奏音、陽奈ちゃん」
ついでに買い出しもしたみたいで、二人とも両手に袋を持っている。
「持つ」
「俺も」
私が袋一つ、お兄ちゃんが袋を三つ持った。
お母さんたちに手を洗ってもらっている間に台所に運ぶ。
今日はお母さんが作るみたい。
「あら、ありがとう」
「お母さん、今日の、お夕飯なんです?」
「ふふ、たこ焼きよ。たこ焼き器があったはずだから」
「! たこ焼き!」
たこ焼きだーい好き。多分今の顔はすっごく笑顔だと思う。
「たこ焼き好きなのか?」
「うん。大好き。作るのも好き。だけど、人みしり。話すの、苦手」
だから、こんなにカタコト。
本当は、沢山話したくて。でも、できなくて。
「転校、したい」
「今の学校から?」
「それ以外どこがあるの?」
「うーん。父さんたちに相談してみよう」
「やったー!」
子供か。
でも、行きたくない理由がある。
「何かあるのか?」
「・・・・・・・・・・・言いたくない」
「なら、聞かん。ただし、どうしても、その事情が必要になったら、その時は、聞かせてもらうよ」
「そうしてくれると嬉しい。でも、私以外に聞いてほしい」
「わかった」
深掘りしないでくれた。思い出したくない、そんな前のお父さんだったし、今の学校でも、前のお父さんからの扱いと変わらない。
その後、お夕飯を食べている間にあっさりOKが出て、少々びっくりしたのであった。
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