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怪説書 ~完全版・怪奇短編集オフィシャルファンブック~  作者: 牧田紗矢乃
日常ノ怪①

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九、長靴

 大切な人を失った結果、どこか狂ってしまったお母さんのお話。


 旧版の方では娘をひたすら「彼女」と表記して叙述トリックを狙っていた……のだろうと思います。

 そこを伏せて進めていくメリットを感じなかったので改稿の際に迷わず「娘」と表記するようにしましたが(笑)


 編集担当さんからもらったのは「娘の傘をさして長靴を持った女がいたら不気味」というワード。

 打合せの時には深く考えず「それもありですね!」と受け入れてしまったのですが、いざその要素を取り入れようとするととても難しいことに気付きました。


 もともと母親の一人称視点で書いていた短編だっただけに、そこからどうやって三人称視点の不気味さに持っていくか。

 非常に悩みました。

 母親視点からだと、さも当然のような流れでそういう行動に移っていそうですからね。


 とはいえ800字程度の短編の中で一人称→三人称に変わるのも……と考えた末のあの結末です。

 旧版でもそうでしたが「怖い」より「切ない」の方が勝るお話になってしまいました。


 本当はとことんまで狂って、サイズの合わない娘の長靴を履かせたりしたかったんですよね。

 でも、さすがに幼児サイズの靴に大人の足を押し込むとなるとシンデレラ越えのグロシーン(シンデレラの原作では姉たちがつま先やかかとを切り落としてガラスの靴を履こうとします)が登場しそうですからねぇ。


 前にも増して怖い話続きだったこともあり、箸休め的な緩やかな終わりのお話になりました。

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