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94/155

#94 BBQ

富士山見えるかな~と思ったけど、雲で見えなかった。


きれいに見えるとテンション上がるんだけどなー




ログハウスに近付くにつれ、いい匂いがしてきた。


「あ……テーブルが出てる……」


庭にはテーブルとイスが用意されており、さらにBBQでよく見るコンロが設置されていた。


「どうやら外で食べるみたいだな」


確かに星空の下で皆でBBQって、最高かもしれない。


「成る程……セリウスにしてはいいアイデアだ」

またしてもライオネルがそんな事を呟いた。


──“セリウスにしては”って……よほどセリウスの料理が口に合わなかったらしい。



ログハウスのドアが開き、食材を盆に乗せたユリアが出てきた。


「あ、お帰りなさい!」

満面の笑みで迎えてくれた。


「「「ただいま」」」


──ふぉ!エプロン姿で「お帰りなさい」とか、新婚さんかよ?カーワイイ!


「外で食べるんだな」

そう言いながらゲイルがさっとユリアの元に行き、スムーズに盆を奪った。


「──!」

ああ、そうだ、カワイイとか堪能してる場合じゃなかったよ!

紳士だったら女の子が荷物持ってたら代わりに持つよな~出遅れたぜ……。



「エリック、ブルーベリーを盛り付けないか?冷蔵庫にある物も活用しよう」

ライオネルがカゴをあげ、ニコリと笑いそう言った。


「──うん、何かあるといいな」

「ああ。たぶんあるだろう」


早速ログハウスに入ろうとすると、今度はルルカとドアの所で鉢合わせた。


「あら、お帰りなさい。良いのが見つかった?」

「……面白いものが見つかったんだが、とり損ねてね。これはブルーベリーだ」

「そうなのね。ブルーベリーは何にでも合うわ。私は好きよ」

「それは良かった。ところで、外で食べることにしたんだな」


「ええ……ちょっと……セリウスが……独創的な創作料理をしだして……私とユリアで外で食べたいからBBQで!とお願いしたの」

ルルカが頬に手を当て、俯いてしまった。


「やはり……その……セリウスが作ったものもあるのか?」

「……ええ……そちらも、いただかなくてはね」

「そうか……」

「……大丈夫よ。食材はちゃんと食べられる物だったわ。ただ……」

「……ああ……」


何か共感したのか、二人で目を合わせ頷いた。


「セリウスは?」

「BBQで使う魚をもう一匹取りに生け簀に行ったわ」

「キッチンは使えるか?」

「ええ、どうぞ」

「よし、口直しを作るか。エリック、行こう」

気分を変えるようにポンとエリックの背中を叩き、キッチンに向かった。


「ん」

口直しって言っちゃったよ?

一体どんな料理が出るのかマジで楽しみになってきた。




「エリック、スイカがあった。あとコレも」

冷蔵庫を物色していたライオネルがスイカとマンゴーっぽい黄色い楕円形の果物を持ってきた。


「なんだ。取りに行かなくてもあったんだね……」

ブルーベリーを洗い、潰れていたり腐っているのを選別しながら応えた。


「ああ、だがまぁ珍しいものも見れたし、無意味では無かったと思う」

「うん、だよね。あのスイカガメ……やっぱり皆にも見せたかったな……」

「なら、明日狩りに行くか?準備していけば捕獲も可能だろう」


「うーん……」

最後振り返って俺を見ていた亀の顔を思い出した。あの、何だか俺を認めたような笑顔……。


「いや、それはいいかな」

出来れば自然と出会いたい。


「そうか……。そうだ、このスイカ、カメの形にするのはどうだ?」

「!!良いね!」


さすがライオネル、ナイスアイデアだ!


「よし、じゃあスイカは任せてくれ。エリックはマンゴーとブルーベリーの盛り付けを頼む」


「ん」

やっぱコレはマンゴーか。俺、苦手なんだよな。口がむず痒くなる……でも、エリックはたぶん平気だよな?

よし、あのよく見かける賽の目状の……花みたいにするカットをしてやろう。


きれいに盛り付けていると、工作みたいでなかなか楽しい。チラッと隣で作業するライオネルを見た。


そこには精巧に再現されたスイカガメが出来上がってきていた!


「……ライオネル……すごい……」

思わず感嘆の声をあげた。

ナイフを器用に操り、作り上げていく過程はまさしく芸術家のそれのようだ。


「ああ、興がのった。エリックのは……かわいいな。君みたいだ」

ふっと笑顔を向けられた。


「……な、何を言って……」

思わず照れてタンっとマンゴーに包丁を入れた。


「いたっ!!」

今サクッて指切った!

痛って~!血がじわっとにじみ出たきた。

止血ってどうやるんだっけ?


「!エリック」

ライオネルが側に来たかと思うと、切った左手の薬指の根元をきゅっと締め、持ちあげられた。

そのまま、はもっと第二間接まで咥えられた!



「!!」

ウキャーーッ!ドキッとしたぁ!

ちょっ!いや、お約束かもしれないけど!


かぁーっと頬が熱くなる。



「ラ、ライオネル……」

舐められてる感触がするぅ……うぅっ……なんか、嫌じゃないのが怖い!


「──気を付けるんだ」

指先に唇をつけたまま、金色の光る瞳で見つめられ、そう言われた。


「……はい……」

……何か……ぼーっとする……


「……あれ?」

切った左の人差し指を見ると、傷が無くなっていた。


「それくらいの傷なら治せる」

そう言って、スイカガメ製作に戻っていった。


「……ありがとう」

「どういたしまして」


何となく見つめあい、微笑みあった。



……これ、もうカレカノじゃない?

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