#8セレブリティ学園
はじめまして、ユリアちゃん!!
これからもよろしくね!
……え?………………あれ?
「はぁ~~~~すげぇ~~~~」
思わず感嘆の声が漏れた。
セレブリティ学園はさすがに王都一の学園だ。
そこはまるで、ネズミの夢の国みたいに華やかだった。
──さすが貴族の子どもたちが通う学園だなぁ……でも……
華やかだ、確かに。制服効果もあるんだろう。
でも、顔の作りがなんかぼんやりなんだよなぁ。確かに町の人よりは髪の色も様々だし、まぁまぁかわいい子もいる。でも大したことない。つまり“ちょっときれいな町の人”程度だった。
──こりゃマジでメインキヤラ以外モブだな……
だが建物は立派だった。気合いが入ってる。
真っ白なお城みたいな校舎がおそらく本館なんだろう。あ、こっちの校舎、X-MENで見た気がする。もしかして地下に訓練所とかあったりして……。
ぼーっと眺めながら歩いていると、後ろからトンっと誰かにぶつかられた。
「おっと!」
「あ、ごめんなさい!」
と、途端にシャララーン!と何処からともなく音が聞こえた!
──へ?何?
「あの、大丈夫ですか?私、ぼんやりしてて……怪我とかされなかったですか?」
またシャララーンと音が流れた!
「あ……あぁ……こちらこそ、ごめん…………」
戸惑いながらぶつかった子の顔を見た。
ビックリした!すごくかわいいい子だった。
なんちゅう鮮やかなピンクの髪、潤んだ紫の瞳!小さい顔にさくらんぼみたいな赤い唇……!
うっわ~こんな可愛い子はじめて見た……。
でもどこかで会った……。
……ああ!これ、この子、ユリアちゃんだ!!
──そうか、今のはイベント発生音だったんだ!うわーベタだ!ベタベタのベタな出会いやん?これ、乗っからなあかんやつやん?
思わず変な関西弁になりながら頭を巡らせた。
「あの…………」
と、ユリアちゃんが困った顔をしている。
そう、ここから“セレブリティ学園~ユリアの選択~”が始まるのだ!気合いを入れろ!
かわいい彼女をゲットだぜ!
──やるぜ、エリック!
「こほん、こちらこそ失礼いたしました。きれいなお嬢さん」
にっこり笑って髪をかきあげ、ペコリと貴族の挨拶をした。
──どう?俺、カッコイイだろ?惚れたか?
「──あ……ほんとに申し訳ありませんでした。お怪我が無くて良かったです。では、失礼致します」
<ユリアは頭を下げ、そそくさとその場を去っていった……>
「────あれ?」
今変なテロップ流れた…………?
──ここはユリアちゃんが顔を赤らめてエリック様素敵!ってなるんじゃないの?……おかしいな?
「君、道に迷ったの?新入生はこっちだ。ついてきて」
ぼんやり立ち去るユリアちゃんの後ろ姿を見送っていると、在校生らしい顔のはっきりしない人に声をかけられた。
「──あ、はい、ありがとうございます……」
──ちょっと手応え無い感じ?……まぁ、始まったばかりだしな。問題ないだろう
気を取り直し、そう言い聞かせるものの、なんとなく出鼻を挫かれた気持ちでモブ在校生についていった。
まぁね!問題ない、問題ない!
ちょっと手応え無かったけど……。角度が悪かったかな?