#4お前も誰だよ!?
イケメン登場。
「…………様、朝でございます。起きて下さいませ。エリック様!」
──誰だよ?エリックって……
聞いたことのない女性の声が聞こえた。
エリックとかいう奴を起こそうとしているようだけど……。
──うるさいなぁ……よそでやってくれよ。俺は昨日とんでもない悪夢を見て、まだ眠いんだから……
「エリック様!お起き下さい!入学式に間に合わなくなってしまいますよ!」
だが、その声はしつこく起こそうとしている。
マジ、うるさい。エリックさっさと起きろよ!
そう思い、寝返りを打とうとしたら、誰かにガシッと肩を捕まれ、グリンっと無理やり起こされた!?
「な……何!?俺はま…………だ…………」
全く知らない女の人の顔が目の前にあった!
────は?……誰?この人……。アイスクリームみたいな頭に眼鏡って……どっかのアニメで見たような……いい年してコスプレ?
そのあまりのとってつけたようなメイド姿の女性に、一瞬呆けてしまった。
「早くご用意をお願いします。こちらが制服になります。お着替えください」
これまたどこかで見たような制服を渡された。何処だっけ?いや、それより……
──全く状況が理解出来ないんだけど?
「下でお待ちしております。皆様お揃いですのでお急ぎくださいませ。では私は失礼いたします」
と言って、頭を下げ見知らぬ女性が部屋から出ていった。
独り部屋に残された俺は、ぼんやりと辺りを見回した。
豪勢で、掃除の行き届いた清潔な部屋だった。
装飾の施された高級そうな家具、幾重にも重なった重厚なカーテン、壁紙も落ち着いてていい味だしてる。それに、見上げるほど高い天井にでっかいシャンデリア!
「ワァー、スゴイナー」
つい片言の外国人みたいになった。
なんだかお城みたいな部屋だ。いや、お城知らんけど。
「何?なんなの?これ、どゆコト?」
誰に言うでもなく独り呟いた。
もちろん誰も応えてはくれなかった。
意味がわからない。
昨日綺羅が俺に乙女ゲー押し付けて、俺は攻略出来なくて……それから…………変な女の声がして…………あれ?
俺はいつの間にか寝てた……んだよな?これ、ベッドだし……てか、ふかふかじゃん!これ、フランスベッドじゃね!?あきらかに俺のベッドじゃないんですけど!
…………えぇ……いったい何がおきたんだよ……?
「……とにかく、コレに着替えたらいいんだよな?」
よく分からないが、いつまでもこんなフリフリしたパジャマを着ていることに抵抗を感じ、渡された制服を着ることににした。
そろそろとベッドからおりた。
「──は?あれ?」
視界が……なんか……高いんだけど?
それに、え?手足が長い!?しかも肌が白い!
ゴクリと唾を飲み込み、手足を動かしてみた。
……動くな……思い通りに動く。つまり、この体は俺の体……。
顔を触ってみた。
「…………ええ……?うそん……」
違うよ……これ、俺じゃないよ……?
俺、こんなに鼻高くないし、こんな女の子みたいな(触ったことないけどな!)ツルツルお肌じゃない……。
慌てて鏡を探した。
あ、あった!
一目散に鏡に向かい、バッと鏡に姿を写した。
そこに写ったのは……
「はぁ!?誰だよ!コレ!!って俺か!?」
赤髪碧眼でスラリと背が高く、誰がどう見てもイケメンとしか言い様のない1人の男が、驚いた顔でこちらを見つめている姿だったのだ!
「なんっじゃこりゃ~~~~!!??」
あり得ねぇーーー!!
可愛い女子かきたい。