#2ヤバいやつやん……
暗闇とか怖っ!
真の闇ってなーんにも見えないんだよ?
真っ暗って、真っ暗なんだよぉーーーーー!!
「あ!くそ!こいつ強いな」
俺はゲームに文句を言った。
そう、『セレブリティ学園~』は何故かヒロインがパーティー結成して、そのメンバーで迷宮に行ってお宝をゲットする!という訳の分からんイベントが発生する。
それがこれまた何故か難易度が高く、全員無事で戻るのは難しいのだ。
で、格ゲー得意の俺に綺羅が丸投げしてきよった。
いや、でも、こんなスペックでこの難易度……無理ゲーじゃない?てか、そもそもバトル要素って、ほわわーんな乙女ゲーに必要無くね!?あってもちょこっと場を賑わす程度でよくないか??なんでこんな本格的な……
「あ!やば、はよ回復しろや!おい、ルルカ!は?な~にが『魔力があと2です』だよ!?おめぇ序盤でしょーもないことに魔力使いすぎなんだよ!!このバカ女!回復薬はよ飲めや!」
そうなのだ。このゲーム、ヒロインのユリア以外の女子、顔が良いだけでバカ女ばっかりなのだ。ヒロインを引き立たせるためか?現実にいないだろ、こんなアホなやつら!まぁ現実の女子知らんけど!
でももしいたら、絶対近寄りたくもないわ!
「はぁーっ失敗……」
それでも負けるのは悔しい。
コントローラーをポイっとソファーに投げ出し、スマホを取った。
……だいたいさぁ、なんで俺がこんなのやらなきゃいけないわけ?
つまんねークソ乙女ゲーなんぞ、クソ女がやればよくないか?
バカ女どもが現実に絶対存在しないような完璧イケメンに囲まれて、逆ハーで喜んでるキモいゲームだろ?
男に“ハーレムとかキモ”って言ってるやつ!そんなクソ女が自分がイケメンにモテまくる立場になった途端、はまるんだろな~。
例え現実ではあり得なくても、ゲームの中ではモテるんだからな!!
あーーバッカみて~!格ゲーファンの俺としては絶対やらないクソゲージャンルだわ~~
「“クソゲーはクソがするからクソゲーよ”ってな!わはははは!」
俺が一人スマホをいじりながら高笑いをしていると、バンッ!!と、何かを叩きつけるような音がした!
と、同時に突然真っ暗になった!!
「え!?」
ドキッ!と心臓が飛び出しそうなくらい驚いた!
それは……不自然なくらい真っ暗だった。
「何なんだよ…………」
何にも見えない。
自分の手すら見えないのだ。真の闇とはまさにこのことだ。
「……停電?雷とか鳴ってなかったよな?」
誰にともなく呟いた。
てか、俺スマホひらいてたよな?
でも……何処を触ってもスマホの画面は光らなかった……。
……こんなの、おかしいぞ…………。
こんな真っ暗って……窓からの明かりすら見えないんだけど?
シーンとして何の音もしない。静かすぎて耳が痛くなってきた。
ドキドキと心臓が嫌な鼓動を打つのが頭の中に響いた…………
悟ルンに何が起こった?
乙女ゲーって、実際こんなゲームないでしょ。あるのか?無い方に百円。