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#143 待ち合わせ

ユリアとデート?


余計な人たちはいるけど、待ち合わせ時間までは二人きり。

やっばりこれはデートと言っても過言ではない!

今日は待望のユリアと?街探索だ。とりあえずコブの事はおいておく。


朝食を終え、出かける準備をする。

セレブリティの学生である間は外出先でも制服を着ることを推奨されているので、今日は制服デートだ。

外出の際は外套も着ていくのだが、外套は3種類あり、それはその都度好みで着ていいものだ。


今日は赤茶の外套を羽織った。

鏡の前に立ち、髪がはねてないか、襟が乱れてないか、もう一度身だしなみを整える。


「……うん、完璧」

ツヤツヤの燃えるような鮮やかな赤い髪。それに対するかのように青く輝く瞳に、ピカピカの白い肌で、整った小さな顔。スラリとした肢体に赤茶色の外套はよく似合っている、と思う。

……我ながらほんとにイケメンだぜ。


「よし、行くか」

紙袋を持ち、意気揚々と部屋を出た……。




ユリアと門で待ち合わせをしている時間にはまだ半刻以上ある。


朝からソワソワしていたせいか、棟を出る時人とぶつかるという失態をおかしてしまった。

謝ろうとしたら「大丈夫です!」と言ってさーっと消えてしまった。

何組の誰かはわからんけど、ちょっと浮かれすぎた。反省。


「……ユリアちゃん、喜んでくれるかな」

立ち止まり、もう一度紙袋の中を確かめる。ちゃんと先日買った包装紙に包まれた物が入ってる。



「……ん?あれ?」

門の所に人影が見えた。影と足元しか見えないが……ユリア?え、早くない?まだ三十分以上あるよな?


その時ぶわっと風が吹いた。

風に煽られピンクの髪が揺れ、スカートの裾が翻ったのが見えた。


──おお、やっぱユリアじゃん!もう来てたのか!


慌てて駆け寄り、

「──ユリアちゃん、ごめん、待たせた?」

と後ろから声をかけた。


「エリック!ううん、いま来たところよ」

ニコッと花が咲くように笑った。


──か〜わえぇ〜なぁ〜〜!あ、しかも外套赤茶色じゃん!おそろだ!


ドキドキして、思わず顔が熱くなった。

「……あ〜……なら、いいんだけど……いや、良くないな。女の子待たせるなんて、ほんとごめん」

ペコっと頭を下げた。



『待ち合わせ場所には君が先に着いとくんだよ。少なくとも半刻は前にね』

セリウスに注意されていた。


丁度の時間じゃ駄目なのかと訊ねる俺に、諭すように教えてくれた。

『初めての時はいただけないね。待つ事で“私はあなたに会うのが待ち遠しいのです”ってアピールできるでしょ?』

なるほどと思い、その言葉に従うべく早く来たつもりだったんだけど──!


「そんな、謝らないで?私が早く来すぎたんだもん。今日、楽しみで……」

少し照れたように笑った。


──か〜〜わーーよ〜マジ可愛いな、ユリア!


「……ユリアちゃん……こほん……ボクも、楽しみです」


「やだ、急な敬語!」

くすくす笑いながら、エリックの腕を軽くポンッと触った。


「ふふ、ニック達との待ち合わせ時間にもちょっと早いけど、エリックと待ってたらきっとあっという間だよね。じゃあ、行きましょうか。馬車はあっちよ!」

そう言って歩き出そうとした。


「あ、待って」


『ちゃんとエスコートを忘れないように。一人で歩かせるような真似はするんじゃないぞ』

ライオネルの声が蘇る。


「……どうかした?」

ん?と小首を傾げるユリアが可愛い。


──よし……恥ずかしいけど……これは、貴族では当たり前の事なんだ!気障とかじゃないったらない!実践の成果を見せる時なんだ!


「……ん……」

てのひらを上に、手を差し伸べた。

かぁっと耳が熱くなるのが分かったが、構わずユリアを待った。


「──ありがとう」

その手にそっと手を乗せ、ふわっと微笑んだ。


そのままユリアの手を自分の腕にかけ、並んで馬車まで歩いてゆく。


「ふふ、なんだかデートみたいだね……」

ユリアがボソリと呟く声が聞こえた。


──よっしゃぁああ!!ありがとう、ライオネル、セリウス!超スムーズにいってます!サンキュー師匠たちぃ!


「うん……」

コクリと頷いた。



二人が並んで歩く姿は、まるで絵画のように美しく、思わずため息が出るほどだった。

見送る門番が「朝からいいもの見たぞ〜〜寿命のびたわ〜〜」と、心の中で手を合わせていたのは、誰も知らない。

頑張れエリック!

エスコートはライオネルに実践で教えてもらいました。

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