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#129 ユリアの企み

ユリア、頑張れー。


そういや他のメンバーの誕生日っていつ?

セリウスの誕生日プレゼントは海に因んだ物にしようと決めたユリアは、さっそく放課後帰ろうとするゲイルをつかまえ、目立たないように裏庭のガボゼに連れていった。



「──で?人を拉致して何しようっていうんだ?」

腕を組み、胡散臭げに見つめられた。


「ら、拉致って……人聞きが悪いよ!相談したい事があったの!」


「相談……。俺に?」

意外だと思ったのか、不思議そうな顔をした。


「そう。あのね、もうすぐセリウスの誕生日でしょう?海に因んだものをプレゼントしたいなって思ったの。で、海に関してならゲイルか良く知ってるじゃない?」

何せゲイルは海の子野生の子だ。ドリーム王国産の面白いものを知ってるはず。


「なるほど……」


納得してくれたようだ。


よし、計画通り!

こうしてゲイルと一緒にあれやこれや考えることで、二人きりで過ごす時間が増えるのよ。

そうして距離はどんどん縮まって……いつしか二人は見つめあい……



「ああ、それならいい物がいくつかある」

「えっ、も、もう!?」

早すぎない!?私の計画、秒で水の泡だよ!


「?早い方がいいんじゃないのか?手配もあるだろうし……」


「……それは、そうなんだけど……」

ぷくっと頬を膨らませた。


もうちょっと夢を見させてくれても良くない?それを瞬殺とか……ゲイルが優秀なのは知ってたけど、こんな時は有能さを発揮しなくてもいいじゃない!


「くくっ……なんだよ、ハムスターか?そんな頬を膨らませて……何が不満なんだか……」

「べっつにぃ~~何でもありませ~~ん」

「……変なやつ……」


ツンツンと頬を突かれた。


「?」

ふとゲイルの方を見ると、ニヤニヤと笑いながらこちらを見ていた。


「……その品を揃えといてやる。そこから選ぶといい。こうやってこっそり相談してくるってことは、皆には知られない方がいいんだろ?……街の何処かで、そういった場に良いところは知ってるか?」

「!!そ、それって」


街の何処かに二人でお出かけって……それって、それって……もうデートじゃない!!

うっそ!ほんとに!?


「知ってる。こっそり会うのに向いてるお店、私知ってるよ!美味しいケーキ屋さんなんだけど、一席ずつ区切られてるの。内緒話にはもってこいなのよ」

「ケーキ屋か……」


甘いものが苦手なゲイルにはハードルが高い。でも、


「コーヒーも美味しくてね、甘くないスコーンもあって、他にもチョコレートも大人の味で……とにかくいい感じのお店なの!」

ふんす!と勢い込んでアピールした。


このお店、攻略対象とデートすると仲良くなるためのイベントが起こるのよ。もう、絶対ここしかなくない?


「分かった、分かった。そこでいい」

しょうがないなという風に、両手を上げて降参した。


「!!いいの?」

やったぁ~~~~!!すごい、すごいよユリア!頑張ったよ?私!


「ああ。用意出来たら連絡する。それでいいか?」

「もちろん!」



それから具体的な日時を決め、ゲイルとの初デートにこぎつけたのだった……



***



学年会室にはゲイルとユリアを除くメンバーが特に何もないのだが、なんとなく集まっていた。


「ゲイルは今日も来てないな」

ただ一人生徒会の仕事をしながらライオネルがふと呟いた。


「──あ~~まぁ、彼にも色々あるんじゃない?」

セリウスが読んでいた本を閉じ、何処となく所在無げに言った。


「そうよね。私、ゲイルにずいぶん会ってない気がするわ。かれこれ2週間くらい?」

ミルクを撫でながらルルカが言う。


「授業も週に2日くらいしか出てないよね?……来ても放課後には消えちゃうし……何してるんだろう?」

ほんと、アイツ何やってんだろ?生徒会の仕事もしてないし……相変わらず勝手だよな。


「そうだな……いくらブラックダイヤ家の事だといっても、このまま放っておいていいものかどうか……」

ペンを置き、手を組み顎を載せた。


あ、あれって○ンドウポーズじゃね?うわっリアル○ンドウポーズ、はじめて見た!

思わず一人でにやけてしまった。


「──エリック、何か考えが?」


それがなにか思い付いたように見えたのか、ライオネルがすかさず突っ込んだ。


「え!?…………ええと……」

真面目に考えよう。

……いや、もう聞いちゃえば良くない?何してんの?って。まぁ俺たちはメインキャラなんだし、怖い事にはならない、と思う。何せユリアがいるし、いくらブラックダイヤでも俺たちにどうこうするわけないよな?


「──直接聞いちゃわない?」

ので、それが一番手っ取り早いと思う。


「……エリックってば大胆……」

「私は立場上それは難しい」

「ここはお気に入りのエリックの出番ね」


「ボク?」

えぇ……また俺かよ……まぁ、ユリアにさせるわけにはいかないしな……。


「──分かった。今度会ったとき聞いてみる」

気は進まないけど、ずっと気になってるのは確かだ。

ゲイルが絡んでこないって何か物足りないのも事実で……てか、マジで何やってんだろ?静かすぎて不気味だよな。


「頼んだ」「頑張ってね」「エリックなら大丈夫」


大丈夫って何が?セリウスのやつ、何か含んでないか?

「──ん……」


ま、何とかなるだろ。チートなエリックだしな!

かわいいユリアちゃん応援し隊。

でも、そうしたら悟が帰れないんだよね……。


悟、風前の灯火?



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